従業員の労働時間を正確に把握し、適正な給与計算と法令順守を実現するうえで、勤怠管理表は欠かせない書類です。
「何をどう記録すればよいか」「どの管理方法が自社に合っているか」と悩む担当者も多いでしょう。
本記事では、勤怠管理表の基本から記載項目・作成方法まで、実務に役立つ内容を解説します。
【関連記事】Web打刻が無料の勤怠システム3選!打刻の種類・メリット・デメリット
1.勤怠管理表とは
従業員の出勤状況を個別にまとめたものを勤怠管理表(勤怠表)といいます。
出退勤時刻、休日出勤、休暇などの情報を整理するための書類で、給与計算に使われます。
書式に指定はなく、エクセルで作成する企業や勤怠管理システムを利用する企業などさまざまです。
保管義務・保管期限についても法律で定められているため、正しく把握しておく必要があります。
(1)勤怠管理表の保管義務
労働基準法第108条では勤怠情報の記録が義務付けられています。
条文では「賃金台帳に賃金計算の基礎となる事項、賃金額を賃金支払の都度遅滞なく記入」することが定められており、勤怠管理表が賃金台帳にあたります。
記録を怠ると「賃金台帳調整義務違反」となり、30万円以下の罰金が科せられるため注意しましょう。
(2)勤怠管理表の保管期限
労働基準法第109条では「労働関係に関する重要な書類は5年間保存しなければならない」と定められており、勤怠管理表もこれに含まれます。
現時点では経過措置として3年間の保存が認められていますが、将来的には5年が義務となる予定のため、早めに体制を整えておくことが望ましいでしょう。
定められた期間より前に廃棄した場合は罰金が適用される恐れがあります。
2.勤怠管理表の目的
勤怠管理表を作成・管理する目的は大きく二つあります。
一つは従業員の労働実態を正確に把握して適切な労務管理を行うこと、もう一つは関係法令を遵守して企業としての法的リスクを回避することです。
単なる記録作業と捉えるのではなく、健全な労務管理を支える重要なプロセスとして位置づけることが大切です。
【関連記事】勤怠管理はなぜ重要?最新のシステムの機能や効率的な管理方法
(1)適切な労務管理
従業員がいつ・どのくらい働いたか、残業が生じたかなどを把握することは適切な労務管理を実現する上で不可欠です。
時間外労働や休日出勤が過剰にならないようコントロールすることが、従業員の健康維持に繋がります。
また、賃金を正確に支払う上で勤怠管理表はマストです。
法定労働時間を超えた分は賃金割増が発生します。
法定休日労働は1.35倍、深夜労働なら1.25倍など割増率が異なるため、複雑な給与計算を正確に行うためにも、労働時間数や時刻の記録が重要です。
(2)法律の遵守
労働衛生安全法第66条では、企業が労働者の労働時間を正確に把握することが義務付けられています。
1日8時間・週40時間以内の「法定労働時間」を超えて残業を行う場合は労働基準法第36条に基づく労使協定(サブロク協定)の締結や所轄労働基準監督署長への届け出が必要です。
これらの法律を遵守する上で勤怠管理表は重大な役目を担っています。
3.勤怠管理表の記載項目
勤怠管理表に記載すべき項目は、法令上の要件と給与計算の正確性を確保するために定められています。
記載漏れは賃金の未払いや労務トラブルの原因になりかねません。
各項目の意味と重要性を正しく理解しておくことが大切です。
割増賃金の計算に直結する項目も多く、記録の精度が給与計算の正確性に直接影響します。
以下、記載項目についてまとめました。
(1) 出勤・退勤時刻
すべての勤怠管理の起点となる項目です。
この記録をもとに労働時間・残業時間・深夜労働時間が算出されます。
客観性のある方法での記録が法令上求められており、打刻忘れや修正が生じた場合のルールも社内で明確にしておくことが重要です。
(2) 実労働時間
出勤から退勤までの時間から休憩を差し引いたものが実労働時間です。
法定労働時間(1日8時間・週40時間)との比較に使われます。
シフト勤務では休憩時間がシフトごとに異なるケースもあるため、正確な設定と記録が求められます。
テレワーク時の中抜け対応など、自社のルールをあらかじめ整理しておくとよいでしょう。
(3) 残業時間・深夜残業時間
所定労働時間を超えた時間が残業時間として記録され、法定労働時間を超えた分には25%以上の割増賃金が発生します。
さらに22時〜翌5時の深夜労働には別途25%以上が加算され、重なる場合は合計50%以上となります。
月次の累計残業時間が36協定の上限を超えていないか、定期的な確認も欠かせません。
(4) 休日労働時間
法定休日(週1回または4週に4回以上の休日)への出勤には35%以上の割増賃金が必要です。
所定休日(企業独自の休日)と法定休日は混同されやすいため、勤怠管理表上で種別を明確に区別する運用が求められます。
どちらに該当するかによって賃金計算が異なる点を、担当者はしっかり押さえておきたいところです。
(5) 遅刻・早退
所定の始業・終業時刻からのずれを記録する項目です。
実労働時間が所定労働時間を下回った場合、就業規則の規定に基づいて不就労控除が発生することがあります。
控除計算の根拠を明確に示せるよう、時間数を正確に記録しておくことが重要です。
(6) 欠勤日数
労働義務のある日に出勤しない状態が欠勤で、有給休暇とは異なり原則として給与は支払われません。
欠勤事由によっては休職制度の適用や傷病手当金の申請に関わることも。
日数だけでなく理由も併せて記録できる体制を整えておくと安心です。
(7) 有給休暇の取得日数
年10日以上の有給休暇が付与されている従業員に対しては、年5日以上の取得を企業が義務付けられており、違反には30万円以下の罰金が科せられます。
付与日数・取得日数・残日数をリアルタイムで管理し、取得漏れを防ぐ仕組みを整えることが法令順守の観点から不可欠です。
4. 勤怠管理表の作成方法
勤怠管理表の作成方法は企業の規模や運用体制によってさまざまです。
大きく「手書き」「エクセル」「勤怠管理システム」の3つに分けられます。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の実態に合った方法を選ぶことが大切です。
正確かつ継続的に運用できる仕組みを整えることが、適正な勤怠管理の前提となります。
【関連記事】人事労務DXの進め方完全ガイド|勤怠管理・給与計算を効率化する方法
(1) 手書きの出勤簿
導入コストがほぼかからず、小規模事業所では今も使われているケースがある方法です。
一方で、転記ミス・計算ミス・紛失のリスクが高く、管理精度の面では課題があります。
2019年の法改正以降は自己申告のみでの管理が認められないため、タイムカードなど客観的な記録との併用が必要です。
紙の長期保管にかかるコストも考慮したうえで、運用方法を検討するとよいでしょう。
(2) エクセルで作成
初期費用なしで始められ、無料テンプレートも豊富に公開されているため、手軽に導入できる点が魅力です。
ただし、従業員数が増えると入力・集計の手間が増大し、関数ミスや入力漏れのリスクも高まります。
給与計算システムとの連携が難しく転記作業が別途必要になるなど、規模が大きくなるほど限界が見えやすい方法と言えます。
(3) 勤怠管理システムの活用
打刻から集計・レポート作成までを自動化できる、現時点で最も効率的な管理方法です。
スマートフォンからの打刻に対応したクラウド型であれば、テレワーク中の従業員も含めてリアルタイムで状況を把握できます。
給与計算システムとの連携で転記作業をなくし、計算ミスのリスクを低減できる点も大きな強みです。
導入・運用コストはかかるものの、担当者と従業員双方の負担軽減効果は高いでしょう。
5. 勤怠管理システムを活用するメリット
勤怠管理システムの導入は、担当者の業務効率化にとどまらず、法令対応力の強化や給与計算精度の向上など、幅広い効果をもたらします。
手作業による管理ミスや対応漏れが生じた場合のリスクと比較すると、システム化によるメリットは大きいと言えるでしょう。
ここでは代表的な4つのメリットをご紹介します。
(1) 打刻・勤怠データを自動集計できる
従業員の打刻データをもとに、労働時間・残業時間・休暇取得状況などが自動で集計されます。
月次の締め処理もシステムが担うため、担当者がエクセルに手入力して確認するといった作業が不要になります。
ヒューマンエラーによる計算ミスや転記漏れのリスクも解消され、従業員数が多い企業ほど時間短縮効果が大きく表れるでしょう。
(2) 残業アラートで労務リスクを低減できる
36協定の上限時間や有給休暇の取得義務に基づき、アラート通知を行う機能を備えたシステムが多くあります。
残業時間が上限に近づいている従業員を自動で検知することで、過重労働の未然防止が可能です。
有給取得義務(年5日)の管理も自動化でき、法令違反リスクの大幅な低減が期待できます。
(3) 給与計算システムとのデータ連携で業務を効率化できる
勤怠データを給与計算システムに自動反映することで、手入力による転記作業をなくし、計算ミスのリスクを大幅に軽減できます。
勤怠・給与・人事のデータが一元管理されることで月次処理がスムーズになるだけでなく、部門ごとの残業時間推移を確認して人員配置を見直すなど、データに基づいた労務戦略の立案にも活用できるでしょう。
(4) 申請・承認のペーパーレス化で現場負担を軽減できる
有給申請・残業申請・シフト変更などの手続きをシステム上で完結できるため、紙や口頭のやり取りが不要になります。
申請・承認の記録はシステムが自動保存するため、「申請したかどうかわからない」といったトラブルも防止できます。
テレワーク中でも滞りなく運用できる点も、現代の多様な働き方への対応という観点から大きなメリットです。
法律に基づいた勤怠管理を実現する「R-Kintai」

「R-Kintai(アール勤怠)」は、小売業やサービス業に特化した勤怠管理システム。
徹底的な「見える化」と「負荷軽減」で、働く人の満足度アップを実現します。
打刻・勤怠集計・分析などの基本機能はもちろん、シフト管理システム「R-Shift」と連携することで、高精度の予実管理が可能です。
詳しくは以下のページをご覧ください。
簡単な入力でダウンロードできる資料も用意しております。

人気記事