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テレワークの勤怠管理の方法は?基礎知識や管理方法の種類を解説

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テレワークが普及する現代では、勤怠管理の見直しの必要性が高まっています。テレワークはオフィス勤務とは異なる点が多く、それに合わせて勤怠管理の方法も変更する必要があります。本記事では、テレワークの勤怠管理の方法について、基礎知識や管理方法の種類などを詳しく解説します。

1.テレワークの勤怠管理は難しい

テレワークの勤怠管理は課題が多いことが指摘されています。厚生労働省の「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」によると、テレワークは時間や場所を柔軟に活用できる働き方であり、仕事と生活の調和や多様な人材の活用に貢献できる反面、労働時間の管理が難しい、長時間労働のリスクがあるといった課題が存在します。

実際に、労働時間の管理が難しいと考えている企業は少なくありません。テレワークでは労働者が事業場外で仕事を行うため、労働時間の正確な計測や管理が課題となります。

一方、労働者側からは、仕事とプライベートの区別が難しい、長時間労働が発生しやすいという問題が報告されています。テレワークを行う際、自宅などの環境において、仕事と非仕事の境界線が曖昧になりがちであり、結果として長時間労働につながることがあります。 テレワークは働き方改革の一環としても重要視されており、労働時間の適切な管理に向けて整備を進めることが重要です。

2.テレワークの勤怠管理で知っておきたい知識

テレワークの勤怠管理では、次の知識を習得しておきましょう。

(1)テレワークの分類・形態

テレワークには、主に次の3つの形態があります。

在宅勤務

労働者が自宅で業務を行う形式で、オフィスへの通勤は不要です。通勤時間を有効に活用できるため、業務効率や生産性の向上が期待できます。育児休業明けの労働者や保育所の近くで働く必要がある労働者も、仕事と家庭の両立が容易になります。

サテライトオフィス勤務

メインのオフィス以外に設けられたサテライトオフィスを利用します。通勤時間を短縮しつつ、作業環境の整った場所で労働ができるため、効率的な働き方と言えます。

モバイル勤務

労働者はノートパソコンや携帯電話などを活用して、柔軟に場所を選択して業務を行います。労働者が自分の都合で働く場所を選べ、外勤の移動時間を有効に利用することが可能なため、業務効率化につながります。

(2)労働条件の明示が必要

使用者は、労働契約を締結する際、労働者に対して賃金や労働時間のほかに、就業の場所に関する事項を明示する義務があります。これは労働基準法の第15条および労働基準法施行規則の第5条第1項第1の3号に規定されています。

テレワークを導入し、始業や終業時刻の変更などを許可する場合、この内容を就業規則にも記載し、労働者に明示しなければなりません。適切な労働条件と透明性を確保し、労働者と使用者間の契約に関する明確な基準を定めることが重要です。

(3)中抜け時間の処理方法

テレワーク特有の事象として、在宅勤務などでは労働者が業務から一時離れる時間(中抜け時間)が発生する可能性があります。また、は始業や終業時刻の変更が行われる場合があることと、その詳細を就業規則に明記する必要があります。さらに、時間単位の年次有給休暇を提供する場合には、労使協定の締結が必要です。

(4)事業場外みなし労働時間制

事業場外みなし労働時間制は、テレワークにおいて労働者が事業場外で業務に従事する場合の労働時間の計測に関する制度です。労働基準法第38条の2で規定されており、「具体的な指揮監督が及ばない状況で労働時間を算定するのが困難な場合」に適用されます。

事業場外みなし労働時間制を適用する際、テレワークを行う労働者は通常の所定労働時間を労働したものと見なされます。ただし、業務遂行のために通常の所定労働時間を超えて労働が必要な場合、その業務に関しては通常必要な時間を労働したものとみなされます。

事業場外みなし労働時間制を適用するには、以下の要件を満たす必要があります。

・労働者が情報通信機器(パソコンやタブレット、スマートフォンなど)を通じた使用者の指示に即応する義務がない状態であること

・「随時」使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと

(5)休憩時間の取り扱い

労働基準法第34条第2項では、通常は労働者に対して休憩時間を一斉に与えることが原則とされています。しかし、テレワークを行う労働者に関しては、労使協定によってこの原則を適用しないことを規定できます。労使の合意により、休憩時間を自由に設定することも可能です。 また、テレワークを行う労働者に対して、通常の休憩時間に使用者が出社を要求し、業務のための移動を命じる場合、その移動時間は労働時間とみなされます。そのため、別途休憩時間を確保しなければなりません。

3.テレワークの勤怠管理の方法

テレワークの勤怠管理は煩雑になりやすいため、勤怠管理ツールの使用をおすすめします。テレワークの勤怠管理の方法について詳しく見ていきましょう。

(1)メールや電話による始業・終業時刻の記録

テレワークの勤怠管理方法について、始業・終業時刻の確認および記録には2つの方法があります。

1つは、テレワーカーが自分で始業・終業時刻を確認し、適切な記録を行う方法です。もう1つは、電話やメールで始業・終業時間を確認し、記録することです。この場合、上司が部下にメールや電話で出退勤時間を確認し、部下も同様に始業と終業時に上司にメールや電話で報告します。

メールや電話を使用した勤怠管理は、特別な準備を必要としません。しかし、部下の勤怠情報を把握し、必要な指導や調整を行う負担が増えます。

(2)タイムカードやパソコンの使用時間などで記録する

タイムカードやパソコンの使用時間などで記録する方法もあります。しかし、従業員がオフィス内で通常行うタイムカードやICカードを使用した勤怠管理が難しく、パソコンも使用時間を逐一チェックすることは困難です。

テレワークの勤怠管理には、勤怠管理システムを活用しましょう。勤怠管理システムはクラウドベースのソフトウェアで、在宅勤務でも従業員がシステムにアクセスし、出退勤時間の記録を簡単に行えます。これにより、従業員の出退勤情報が正確に記録され、打刻漏れや不正などのトラブルを防げます。

残業申請や有給休暇の管理、給与計算など、勤怠に関連するさまざまな業務を一元管理できるため、バックオフィス業務の負担が大幅に軽減するでしょう。

(3)従業員による自己申告

他の方法で勤怠管理ができない場合は、従業員による自己申告も認められています。従業員はExcelやスプレッドシートなどを使用し、勤務時間、業務内容、業務ごとの作業時間を自己申告して勤怠を管理します。 しかし、従業員による虚偽の申告や申告漏れ、または企業による不適正な運用によって、労働基準法に違反する長時間労働や割増賃金の未払いなどの問題が発生する可能性があります。

4.おわりに

テレワークの勤怠管理には複雑な面があるため、勤怠管理システムを導入することをおすすめします。労働基準法に違反すると労働問題に発展する可能性があるほか、労働基準監督署の調査が入る恐れがあります。今回、解説した内容を参考に、テレワークの勤怠管理を正しく行いましょう。