Copyright © OM Network, Inc.

着替えは労働時間に入る?入らない場合と入る場合の違いを解説!

着替えは労働時間に入る?入らない場合と入る場合の違いを解説! 未分類

「着替え」は労働時間に含まれるのか、企業の人事労務担当者にとって悩ましい問題のひとつです。
着替えの時間が労働時間に該当するかどうかは、実際の業務内容や会社の指示によって異なります。

本記事では、着替えが労働時間に含まれるケース・含まれないケースを具体的に解説します。
企業側が労働時間を適切に管理するために注意すべきポイントについても紹介します。
労務管理のトラブルを未然に防ぎ、従業員にとって働きやすい環境を整えるための参考にしてください。

1.着替えは労働時間に含まれるのか?基本的な考え方

1.着替えは労働時間に含まれるのか?基本的な考え方

着替えが労働時間に含まれるかどうかはケースバイケースです。
どのような着替えがどのタイミングで必要なのかによって異なります。
基本的な考え方について以下にまとめました。

(1) 着替えが労働に含まれるかは「実態によって判断」

着替えが労働時間に含まれるかどうかは、労働基準法には明記されていません。
実際の業務内容や会社の指示の有無など「実態」によって判断されます。
たとえば、特定の業務を遂行するために制服や保護具に着替えることが必須であったり、会社から着替え場所や手順の指定があったりする場合、着替えは労働の一部と見なされる可能性が高いでしょう。

一方で、特に着替えに関して会社からの指示がなく、従業員自身の判断で行う場合は、労働時間とはみなされません。
労働時間に含まれるかどうかは、会社の指揮命令と着替えの必要性との関係が鍵となります。

(2) 労働時間は「指揮命令下に置かれた時間」を指す

労働時間とは、従業員が会社の「指揮命令下に置かれている時間」を意味します。
つまり、業務上の指示に従って働いている時間が労働時間となります。
着替えについても同様で、会社が「指定の場所で着替えるように」と指示した場合や、安全面で着替えが必須とされる業務では、その時間も労働時間に含まれると考えられます。

逆に、会社から特に指示がない状況での着替えや、自宅で自主的に行う着替えについては、指揮命令下とは言えないため、労働時間には含まれません。
労働時間の扱いを正確に把握するためには、会社の指示内容や業務の実態を確認し、判断することが重要です。

2.着替えが労働時間に含まれないケース

2.着替えが労働時間に含まれないケース

着替えが労働時間に含まれないケースとして、着替える行為自体が簡易的な場合や、着替える場所が自宅の場合などが挙げられます。
それぞれ、なぜ労働時間に含まれないのかを詳しくまとめました。

(1) 帽子だけ、エプロンだけ、など簡易な場合

帽子やエプロンなど、簡単なアイテムを身につけるだけの場合は、一般的に労働時間に含まれないとされています。
例えば、飲食店でエプロンを着用したり、工場で帽子をかぶったりする場合、その着脱にかかる時間は非常に短く、労働時間としての計測が難しいと考えられます。

(2) 自宅で制服に着替えてから出社する場合

従業員が自宅で制服に着替えてから出社する場合、その着替えの時間は労働時間には含まれません。
自宅での着替えが会社の指示ではなく、従業員の任意で行われているためです。
このケースでは、会社が特定の場所での着替えを求めていないことが前提となります。
自宅で着替えるか、会社で着替えるかは従業員の判断に委ねられます。

3.着替えが労働時間に含まれるケース

3.着替えが労働時間に含まれるケース

着替えが労働時間に含まれるケースとしては、制服に着替える場所が指示されている場合や、工場や現場作業の安全確保のために着替える場合などが考えられます。
以下で詳しく見ていきましょう。

(1) 制服に着替える場所が指示されている場合

会社が特定の場所で制服に着替えるよう指示している場合、その着替えの時間は労働時間に含まれます。
例えば、「出勤後、必ず更衣室で制服に着替えるように」という指示がある場合、従業員はその指示に従う必要があり、会社の「指揮命令下」にあるとみなされるためです。

このケースでは、着替えの行為自体が業務の一環とされており、会社の施設内で着替えを行う時間を労働時間に含めるのが適切です。
また、会社が着替え場所やタイミングを指定している場合、従業員がその指示に従う義務が生じるため、その時間を正確に労働時間として計測することが求められます。

(2) 工場や現場での安全確保のために着替える場合

工場や建設現場などで、安全確保のために特定の作業服や防護具に着替える必要がある場合、その着替え時間は労働時間に含まれます。

例えば、化学工場で防護服を着用しなければならない、建設現場でヘルメットや作業服を身に着ける必要があるなど、安全面で着替えが必須とされる職場では、その着替えの時間は業務の一部として扱われます。
この場合、着替えは単なる準備ではなく、安全かつ適切に業務を遂行するために不可欠なプロセスとされるため、労働時間に含めるのが一般的です。

4.着替えと労働時間に関する注意点

4.着替えと労働時間に関する注意点

ここからは、企業の人事労務側が着替えと労働時間について社内二周知するうえでの注意点をまとめました。
着替え時間を労働に含むか否かは、労使間で度々裁判になっています。
労使間トラブルを防止するためにも、企業全体で以下の運用を心がけてください。

(1) 職場で着替えが必要な場合の出社打刻は「着替え前」におこなう

職場での着替えが必要とされている場合、出社時の打刻は「着替え前」に行うことが望ましいです。
着替えの時間が労働時間に含まれるケースでは、その時間を適切に記録する必要があります。
出社してからすぐに打刻を行い、その後に着替えを始めることで、会社の指揮命令下にある時間が正確に労働時間として計測されます。

このルールを徹底することで、従業員が着替えに要する時間を公平に労働時間として扱うことができ、労務管理におけるトラブルを防ぐことができます。
特に、制服や防護服の着用が義務付けられている職場では、出社時の打刻タイミングを明確にしておきましょう。

(2) 業務終了後の退社打刻は「着替え後」におこなう

上記のパターンにおいて、業務後は「着替えた後」に終業の打刻を行うのが適切です。
着替えが労働時間に含まれる場合、退社時までを労働時間として計測する必要があるためです。
特に、会社が着替えを業務の一部とみなしている場合は、着替えが完了した後に退社打刻を行うことで、労働時間の記録が正確になります。

こうすることで、業務終了後の着替えにかかる時間も適切に労働時間として扱うことができ、無償労働の発生を防ぎます。
労働時間の計測方法を明確にしておくことは、従業員と会社の双方にとって重要です。

(3) 着替え場所が指定されていない(自宅でもOK)なら労働時間に含まない

会社から特定の場所での着替えが指示されていない場合、たとえば自宅で制服に着替えてから出社してもよいとされている場合、その着替えの時間は労働時間に含まれません。
これは、着替えが会社の指揮命令下にない、自主的な行為とみなされるためです。

このようなケースでは、着替えを行う時間と場所の選択が従業員に任されているため、労働時間の範囲には含まれません。
会社側は、着替えに関する指示や規定を明確にすることで、労働時間の取り扱いに関する誤解やトラブルを避けることができます。

正しい労働時間管理には「R-Kintai」が効果的!

「R-Kintai(アール勤怠)」は、小売業やサービス業に特化した勤怠管理システム。
徹底的な「見える化」と「負荷軽減」で、働く人の満足度アップを実現します。

打刻・勤怠集計・分析などの基本機能はもちろん、シフト管理システム「R-Shift」と連携することで、高精度の予実管理が可能です。

詳しくは以下のページをご覧ください。
簡単な入力でダウンロードできる資料も用意しております。