勤怠管理は従業員の労働時間や休暇を記録し、給与計算や労働法遵守に活かすための重要な業務です。
勤怠管理を手書きやExcelでおこなっている会社では、さまざまな問題が生じています。
本記事では、勤怠管理の基本的な悩みをはじめ、勤怠管理システムの導入に伴う悩み、勤怠管理システム活用における悩みを紹介します。
それぞれ解決するためのアプローチも提案しますので参考にしてください。
1.手書きやExcelの勤怠管理に関する3つの悩み
(1) 手作業でとにかく時間がかかる
紙やエクセルでの勤怠管理は、普段の記録や集計に時間がかかります。
また、集計ミスや入力ミスが生じやすいのもデメリット。
例えば、以下の問題は常に担当者を悩ませています。
- 従業員による勤怠表の紛失や書き忘れ
- 勤怠表の集計やエクセル入力の手間
- エクセルの数式誤りやコピー・ペースト時のミス
(2)記録が不正確になりやすい
手書きやエクセルでの勤怠管理は、正確性に欠ける場合があります。
遅刻や欠勤した従業員が勤務時間をごまかしたり、間違えることもあるでしょう。
また、時間外労働や休暇取得を紙で申請するフローの場合、管理者による承認や勤怠情報への反映は毎回の手間です。
労働時間の記録が不正確だと、給与計算に誤りが発生したり、労働基準法違反のリスクが高まります。
(3)労働時間や休暇取得日数が不透明
紙やExcelだと、今月どのくらい働いたのか、休暇取得日数はどのくらい残っているかなどが把握しにくいのも問題です。
特に当月の残業時間が把握できていないと、知らないうちに月45時間以上の残業をしている可能性があります。
また、有給休暇の残り日数がわからない場合、計画的に休暇を取得するのが困難です。
労働時間に対する報酬や評価が可視化できない分、不公平に感じる従業員も出てきます。
管理者も従業員自身も勤務時間を把握しなければ、気づかぬうちにストレスや疲労を蓄積して体調を崩す恐れがあります。
2.勤怠管理システム導入時によくある悩み
前項で紹介した勤怠管理業務の悩みは、いずれも勤怠管理システムの導入で解決することができます。
勤怠管理システムは、紙やエクセルでは手動だった部分の自動化が可能です。
従業員による休暇申請や管理者側の承認も全てシステム内で完結。
給与計算システムと連携させることで労務管理全般のコスト削減を実現します。
システムは最新の法律に基づいて設計されているため、法令遵守やセキュリティ確保などのメリットがあります。
一方で、勤怠管理システム導入時には、スムーズにいかない部分も。
システム導入時によくある悩みを以下で3つ紹介します。
(1)システム選定が難しい
勤怠管理システムは、国内のメジャーなものだけで30種類以上存在しています。
それぞれのシステムは、機能や価格、サポートやセキュリティなどの面で特徴が異なります。
どのシステムが自社のニーズに最適かを判断するのは容易ではありません。
金額の安さやシステムの知名度だけで選んでも、自社のニーズを満たせなければ無駄になってしまいます。
そのため、システム選定時には候補となりそうなシステムを絞り込んだ上で、試用版を評価する必要があります。
また、業界や業種に特化した勤怠管理システムを選ぶのもスムーズです。
各社のシステムが自社のニーズにあっているか確かめるには、導入事例インタビューなどを確認するのがおすすめです。
(2) 社内に浸透させるのが大変
勤怠管理システム導入は、従業員の勤怠管理方法が変わることを意味します。
新しい方法に慣れるまでは時間がかかり、不満が発生するかもしれません。
本部の労務スタッフやシステム担当スタッフは。従業員が操作方法やルールを理解できるよう、導入研修やフォローアップを行う必要があります。
システム導入を成功へ導くためにも、きめ細かい対応が必要です。
(3) データ移行の問題
勤怠管理システムの導入には、既存のデータを新システムに移行する作業が必要です。
データ移行はデータの量や形式、品質などによって複雑さが異なります。
システム提供側との連携を重視しながら、スムーズに移行できるよう準備しましょう。
3.勤怠管理システムの活用における悩み
勤怠管理システム導入後、活用における悩みで多いのが以下の3つです。
紙やExcelから利便性が向上する一方、使い方や管理方法に課題が出てくるかもしれません。
以下を参考に、起こり得る問題をシミュレーションしてみましょう。
(1)正確性に個人差が出る恐れ
勤怠管理システムは、従業員の勤怠データを自動的に記録・集計・分析しますが、正確性は使い方に左右されます。
勤怠管理システムの打刻はICカードやパソコン・スマートフォンで行いますが、後で修正可能です。
遅刻しても打刻修正でなかったとするケースや、早退の際に打刻せず終日勤務していたとするケースも考えられます。
正確性を保つためには、ごまかしのきかない環境整備が重要です。
打刻修正の申請内容を管理職や労務担当が確認するようにし、あまりに多い場合は口頭で注意するなどの対応も考えましょう。
(2)システムの維持・管理コストの問題
勤怠管理システムは、定期的なアップデートやメンテナンスが必要です。
買い切り型ではなく月額課金型のため、毎月のランニングコストもかかります。
初期費用だけなく継続的に発生する費用も見積もりをとった上で、予算にあったシステムを選ぶようにしましょう。
システムによってはユーザー1名につき◯◯円、のような課金方法もあります。
今後増員の可能性が高い企業であれば、人事計画との照らし合わせをおすすめします。
(3)使いづらさの問題
勤怠管理システムによっては、画面レイアウトや操作性が直感的でない場合があります。
また、従業員間での使い方のばらつきがある場合があります。
システムの使い勝手に不満を持つ従業員が多いと、継続的な運用が難しくなります。
導入前のテスト段階で、操作性に問題がないかチェックするようにしてください。
本部のスタッフだけでなく、現場のスタッフにもテストしてもらうようにしましょう。
4.勤怠管理の悩みを解決するためのアプローチ
勤怠管理の悩みを解決するためには、以下の3つのアプローチが有効です。
勤怠管理システム検討段階から導入後に至るまで、悩み解決に効果的な方法をまとめましたので参考にしてください。
(1)システム選定前に条件を洗い出す
勤怠管理システムを選定する際には、自社のニーズや予算を明確に定義しましょう。
場合によってはこの段階で「システム導入ではなく自社でできる方法で業務改善」という選択肢も有り得ます。
勤怠管理システムを比較する際には、機能や価格、サポート体制やシステムのセキュリティ強度などは必ずチェックしてください。
無料トライアルや有料の試用版を使って、操作性の良し悪しも細かく見ておきましょう。
(2)従業員への教育・サポート
勤怠管理システムを導入する際、従業員にシステムの目的やメリットを説明することがスムーズなシステム移行のポイントです。
導入後はシステムの使い方マニュアルを配布したり、各部署に使い方をレクチャーするなど、現場スタッフに寄り添った対応を心がける必要があります。
運用方法については実際に利用するメンバーから随時フィードバックをもらうようにしてください。
(3)システム開発会社との連携
導入時の機能選定やマニュアル作り、社内へのレクチャーには、開発会社との連携が不可欠です。
そのため、システムの使用感だけでなく、開発会社との相性も重視しましょう。
また、勤怠管理システムの多くは、完成品ではありません。
ユーザーのフィードバックをもとに常に改善を重ねています。
現場でシステムを使う従業員からのフィードバックを開発側に伝えつつ、風通しの良い関係性を築くことが、勤怠管理システムの機能性向上に繋がります。
5.おわりに
勤怠管理にまつわる悩みやシステム導入・システム活用で起こりがちな悩みについて紹介しました。
勤怠管理システムはどれを選んでも同じというわけではありません。
必要な機能や予算感を踏まえつつ、自社にあった勤怠管理システムを選ぶことが最優先です。
今回ご紹介した内容を自社の勤怠管理の改善にお役立ていただけますと幸いです。
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