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勤怠管理は労働基準法で定められた義務?効率的な勤怠管理の方法について解説

勤怠管理は労働基準法で定められた義務? 未分類

勤怠管理は、適切な労働者の雇用および労働を実現するために、労働基準法によって規定された管理です。つまり、勤怠管理を適切に行わない場合は、労働基準法違反に問われる恐れがあります。本記事では、勤怠管理の労働基準法における取り扱いと効率的な方法について詳しく解説します。

1.そもそも勤怠管理とは

勤怠管理は、企業が法令に基づいて従業員の労働時間や休暇などを適切に管理するための仕組みです。労働基準法に基づく企業の義務であり、主に出勤・退勤時間、欠勤や遅刻の状況、休日の取得状況など、労働に関わる記録を数字的に集計・管理することを指します。

2.勤怠管理と労働基準法の関係

勤怠管理は、企業が法定労働時間を守る一環のために行います。つまり、勤怠管理を行わないことによって、結果的に労働基準法に違反してしまうということです。労働基準法では、法定労働時間を超える労働は原則として禁止されています。勤怠管理は残業時間を正確に把握し、割増賃金の計算に必要です。

また、法令により規定された休憩時間の遵守が求められます。勤怠管理は休憩時間帯を適切に把握し、労働基準法の要件を満たします。労働基準法では非常に多くの規定が定められており、これを目視だけで管理することは不可能です。

適切に勤怠管理を行える体制を整え、管理ルールを策定したうえで従業員を雇用する必要があります。

3.勤怠管理が必要な理由

労働基準法が企業に対して勤怠管理を義務づける理由は、主に「過重労働の防止」と「労使トラブルの回避」にあります。過重労働が慢性的な人手不足企業では、長時間労働による健康障害が問題となっています。法律による勤怠管理は、残業や休日労働に対して割増賃金を支払うだけでなく、労働者の心身の健康を守るためにも重要です。

適切な勤怠管理が行われないと、残業代や休日手当の正確な計算が難しくなり、賃金未払いの問題が発生しやすくなります。また、労働者の過重労働が深刻化し、それが健康障害や退職増加、賠償問題、最悪の場合は過労自殺などにつながる可能性があります。

4.勤怠管理の方法

勤怠管理には、次のような方法があります。

(1)タイムカード

タイムカードは、専用の機械(タイムレコーダー)に勤務者がカードを通すことで、出退勤時間を自動的に記録するシステムです。メリットとして、打刻を手軽にできることが挙げられます。従業員は簡単に出退勤を記録でき、管理者は手作業での勤怠集計の手間を削減できます。また、一部のタイムレコーダーはPCに接続して自動で労働時間を集計するため、作業の簡略化が可能です。

一方で、人為的ミスや失念によって打刻漏れが発生しやすく、手作業での集計が必要なため、時間的なコストがかかることがあります。また、タイムカードは印刷物として残り、その保管にはスペースが必要です。さらに、複数の拠点がある企業では各拠点からタイムカードを集める作業が必要なため、手間と時間を要します。

(2)出勤簿

出勤簿は、従業員が勤務時間を手書きで記入し、それを集計して労働時間を算出する勤怠管理方法です。フォーマットを作成すれば、紙代以外にはコストがかからず、手軽に始められます。

ただし、自己申告制に基づく出勤簿は、法的な規制が存在します。法令やガイドラインでは、労働者の自己申告制を原則認めず、特別な措置が必要とされています。これは、正確な労働時間の把握が難しく、記入漏れが生じやすいためです。また、手動の集計作業が発生し、保管にはスペースが必要で、書類が紛失するリスクもあります。

(3)エクセル

エクセルによるタイムカードの集計は一般的に広く利用されていますが、メリットだけではなく課題もあります。エクセルは導入コストが低く、多くの企業できます。また、テンプレートの利用や数式の組み立てが容易であり、カスタマイズ性が高いのもメリットです。

一方で、デメリットも存在します。国のガイドラインに沿っておらず、特に客観的な記録の要件を満たしていない可能性が指摘されています。また、手作業が多く、作業工数が増加するため、従業員ごとのデータを再チェックする必要があります。さらに、柔軟な働き方に対応することが難しく、在宅ワークやフレックス勤務などの導入の障壁になるでしょう。

(4)自社開発のシステム

自社開発のシステムは、企業が独自のニーズに合わせて開発・導入した勤怠管理システムやタイムカードシステムのことです。カスタマイズ性が高く、企業の特有の要件に柔軟に対応できます。また、勤怠管理に関する機能を独自に組み込むことで、業務プロセスの最適化も可能です。

さらに、フレックスタイムや在宅ワークといった柔軟な働き方にも容易に対応できます。セキュリティ面でも、企業が独自のセキュリティ要件を組み込むことで、データや機密情報を高度に保護できるでしょう。このようにメリットが大きい方法ですが、導入やランニングコストが高いため、費用対効果によっては採用が難しいと言えます。

(5)勤怠管理システム

勤怠管理システムは、タイムレコーダーやデバイスと連携して打刻からデータ集計・分析まで一元管理するツールです。クラウドサービスで提供されているものも数多くあります。WEB打刻やICカード、指紋認証、顔認証、GPS、SNSなどさまざまな手段で打刻できます。

リアルタイムでの管理、給与システムとの連携、柔軟な打刻手段、クラウドサービスでの遠隔勤怠管理など、利便性に優れていることが特徴です。ただし、自社システムほどではないもののシステムの導入にコストがかかります。

また、客観的な記録が求められるため、従業員や企業の雇用形態に合ったシステム選定が必要です。打刻ミス防止や使いやすさ、業務負担、企業の雇用状況に適した管理方法かを検討しましょう。

5.勤怠管理の方法を誤った場合の罰則

労働基準法において、勤怠管理に関連する罰則はいくつか存在します。まず、労働時間の記録と保存に関しては、30万円以下の罰金が科されます。時間外労働の上限規制は、超過した労働者1人当たり30万円以下の罰金や、6ヶ月以下の懲役です。年次有給休暇の年5日取得に違反した場合も30万円以下の罰金が科されます。

一方、労働時間の客観的な把握には直接的な罰則は設けられていません。ただし、適切な勤怠管理が行われていない場合、賃金未払いやその他の問題が発生する可能性が高まります。割増賃金率の引き上げにも罰則があり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

これらの罰則が発生すると、企業にとって労使トラブルや賠償問題の原因となります。従って、労働基準法の規定を遵守し、正確な勤怠管理を行うことが重要です。

6.まとめ

勤怠管理を行うこと自体は労働基準法で定められているわけではありません。しかし、勤怠管理を適切に行われなければ、結果的に長時間労働や残業代の未払いなどの問題が生じ、労働基準法に違反する恐れがあります。このようなケースは、管理者が現場の実態を十分に把握していない場合に起こり得ます。 勤怠管理システムを導入することで、現場の労働時間の実態が明らかになるため、労働基準法に違反する事態を未然に防ぎやすくなります。今回解説した内容を参考に、自社に合った勤怠管理方法を検討しましょう。