勤怠管理は組織における重要な業務の一つです。従業員の出勤状況を把握し、労働時間の遵守を確保する役割を担います。管理方法には、従来のタイムカードから最新のクラウドシステムを使用したものまで多岐にわたります。
本記事では、勤怠管理を担当する部署がどこなのか明確にしつつ、勤怠管理の方法について、わかりやすく解説します。
1.勤怠管理は総務や労務関連の部署が担当
勤怠管理は従業員の出勤、退勤、休暇などを記録し、労働時間の管理を行う重要な業務です。
担当部署は企業によって異なりますが、一般的には総務部門、労務部門が関わることが多いです。
総務部門は社内規定の遵守や勤怠システムの管理を担当し、労務部門は従業員の労働条件や健康管理の観点から勤怠データを監視します。
(1)労務とは
「労務」とは、企業における従業員の労働条件や福利厚生、労働時間などを管理する業務のことを指します。
労務管理は、勤怠管理を含む広範な領域をカバーし、従業員が法令や社内規定に準じた環境で働くために不可欠です。
労務が適切に行われることで、企業はコンプライアンスを保持し、従業員の権利と健康を守ることができます。
一般的に、勤怠管理を含む労務業務は「人事部」「人財部」などの部署が担当しますが、企業の規模や構造によって異なります。
(2)総務とは
中小企業の場合は総務部門で勤怠管理を担当するケースが多いです。
従業員の出勤状況を把握し、適切な労働環境を維持するため管理することで、企業の生産性の向上に直結します。
また、勤怠データは給与計算や人事評価の基礎資料としても利用されるため正確かつ迅速な記録が求められます。
総務はこうした勤怠管理の効率化を図ることで、企業全体の運営を支える中核的な存在と言えるでしょう。
2.勤怠管理を行う3種類の方法
勤怠管理の方法には大きく分けて3種類あります。
・タイムカードによる管理
・エクセルを利用した管理
・勤怠管理システムでの管理
これらの管理方法は、それぞれの企業のニーズに応じて選ばれ、効率化を図るための重要な手段となっています。
(1)タイムカードによる管理
従業員が自分の出退勤時刻をタイムカードに打刻する方法です。
タイムカードを用いることで、労働時間の正確性が向上し、人的ミスを減らすことができます。
勤怠管理を担当する部署では、タイムカードの情報を正確に処理し、給与計算や労働時間把握に役立てています。
(2)エクセルを利用した管理
エクセルを利用した勤怠管理は、多くの企業で採用されている手法です。
従業員の出勤・退勤時間をシートに記録し、残業時間や休暇の管理を行います。
後述する勤怠管理システムの導入に比べて初期コストが低く、小規模なビジネスに適している点がメリットです。
しかし、入力ミスやフォーマットの不統一など、ヒューマンエラーが生じやすい側面もあります。
効率化を図るには、テンプレートの標準化や入力ルールの徹底が重要となります。
(3)勤怠管理システムでの管理
近年特に増えているのが、クラウド型の勤怠管理システムによる管理です。
従業員の出勤・退勤記録、休暇取得状況などを可視化し、管理方法を効率化できます。
手作業による管理から脱却し、正確な勤務時間の記録や遅刻・早退の追跡が可能です。
また、従業員自身が勤怠状況をリアルタイムで確認できるため、自己管理が促進される効果も期待できます。
導入に際しては、使いやすさ・コスト・データのセキュリティを考慮した適切なシステム選びが重要です。
3.勤怠管理で重視すべき3つのポイント
勤怠管理における重要なポイントとして、効率化、コンプライアンス、そして従業員満足の3つが挙げられます。
勤怠管理担当者の負担を軽減し、組織全体の生産性を向上にも直結するため、ぜひおさえておきましょう。
(1)就業状況の適切な把握
適正な勤怠管理は、従業員のワークライフバランスを守りつつ、企業の人件費最適化や業務効率の改善を実現できます。
勤怠データは労務トラブルの予防にも効果的です。
従業員にとって信頼できる労働環境を構築する意味でも、適切に把握することを重視しましょう。
(2)正確な給与計算
勤怠管理の正確性は、給与計算の精度に直結します。
実際の労働時間をきちんと把握することで、残業時間や休暇の消化状況が正しく反映され、給与支払のミスを防止できます。
不正確な勤怠記録は給与の過不足を招き、従業員のモチベーション低下や法的なトラブルに繋がりかねません。
給与計算の正確性を保つため、細心の注意を払いましょう。
(3)企業コンプライアンスの遵守
勤怠管理は、企業コンプライアンスにおいて欠かせません。
従業員の権利を保護するためにも法令遵守は大前提です。
適切な勤怠管理を行うことで、企業は罰金や労働紛争などのリスクを回避できます。
また、従業員に対する公平な労働条件の提供が可能となり、企業のブランドイメージを高める効果も期待できます。
4.勤怠管理で管理すべき項目をおさらい
勤怠管理の核となる項目として、出勤・退勤時刻、休憩時間、残業時間、欠勤・遅刻の記録が挙げられます。
これらを正確に把握し、従業員のワークライフバランス実現や、業務の生産性向上へ繋げていきましょう。
(1)時間外労働や休日出勤
残業や休日出勤は、従業員の労働時間と会社の生産性に大きく関わります。
勤怠管理システムでは、従業員の残業申請や休日出勤申請、管理者による承認、残業時間や休日出勤状況を可視化できます。
残業や休日出勤に対する適切な手当の支払いや健康管理の観点からも、リアルタイムでの把握と正確な数値管理は不可欠です。
(2)出退勤時刻や勤務日数の管理
出退勤時刻や勤務日数の管理も勤怠管理の基本です。
従業員の労働時間の正確性を保証し、法令遵守を確実にするために重要です。
勤務状況を正しく把握することで、給与計算の基礎データとして利用できます。
出勤日数が多い従業員や、遅刻・欠勤が目立つ従業員をケアするための数値的根拠にもなります。
(3)有給取得日数の管理
働き方改革が実施されてから、有給取得日数の管理はさらに重要度を増しています。
2019年4月から、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者には年5日の休暇付与が義務付けられました。
社員の権利を守り、法に則った労働環境を提供するためにも、休暇日数の管理はしっかり取り組む必要があります。
勤怠管理システムでは、有給の取得状況を社員自身が容易に確認できる上、年度内で休暇付与日数が少ない場合にアラートを表示することもできます。
計画的な休暇取得を促し、社員の健康を守る上で欠かせない項目です。
おわりに
勤怠管理は、従業員の出勤状況を記録し、労働時間を把握するための重要なプロセスです。
主に労務部門が担当し、法令遵守や給与計算の正確性を保証するために役立てられます。
労働関連の紛争を防ぐ上でも極めて重要であり、企業の信頼性やブランドイメージ向上にも繋がる要素です。
効率的な勤怠管理を実現するためにも、システムの導入をおすすめします。
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