勤怠管理の負担を減らす方法の1つとして、タイムカードの電子化が挙げられます。タイムカードの打刻漏れや計算の負担といった課題を解決できる可能性があります。少子高齢化の影響により生産性の向上が求められている現代では、タイムカードの電子化は積極的に行うべきことでしょう。
本記事では、タイムカードの電子化の方法やメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。
1.タイムカードの電子化とは
タイムカードの電子化は、ICカード、スマートフォン、生体認証など多様な打刻方法を活用し、柔軟かつ合理的な勤怠管理を実現する方法です。電子化においては、従業員はモバイル端末やアプリから打刻を行います。これにより、即座にデータがシステムに反映され、自動的な集計やグラフ化が行われます。手動の記入や紙ベースのシステムよりも正確で、かつ時間の節約が可能です。また、遠隔勤務やフレキシブルな労働スタイルにも対応でき、柔軟性が向上します。
2.タイムカードの課題
タイムカードの電子化の必要性を理解するためには、現在の課題の確認が必要です。タイムカードの課題について詳しく見ていきましょう。
(1)打刻漏れ
タイムカードを利用する際、労働時間の正確な集計が求められますが、その中でよく見られるのが「打刻漏れ」の課題です。特に休憩開始や休憩終了時刻の打刻時間が不正確なために、余計な人件費が発生するケースが多々見られます。
打刻漏れが発生すると、正確な労働時間の把握が難しくなります。従業員が休憩をとる際にタイムカードを打刻し忘れた場合、その休憩時間が正確に集計されず、労働時間の実態を把握できません。
この課題に対処するためには、漏れが生じた場合に従業員が自ら時刻を推測せず、管理者や担当者に報告し確認する必要があります。しかし、これは管理者や担当者の作業量を増加させ、タイムカードの集計に時間がかかる原因となります。
(2)集計の負担が大きい
タイムカードには日にちや始業・終業・休憩時刻が記録され、これを元に労働時間や残業、深夜労働などを集計します。ただし、これらの複雑な計算には誤りが生じないよう確実に集計しなければなりません。このため、手動での勤怠集計は非常に手間がかかります。
特に打刻漏れや異常な勤務時間の発生に対処する必要があり、これが一層集計作業の負担を増大させます。
(3)保管場所を圧迫する
タイムカードの紙は従業員1人につき毎月1枚使用するため、従業員数によっては1年で数百枚にもなります。保管スペースが必要なうえに、必要なデータを瞬時に見つけることができません。タイムカードを電子化すれば、省スペース化と検索効率の向上を同時に実現できます。
(4)リモートワークに対応できない
タイムカードは物理的な打刻が必要なため、リモートワークや在宅勤務には適していません。これに対処するためには、勤怠管理システムの導入が有益です。
勤怠管理システムでは、従業員が自宅からでもモバイル端末やパソコンを使用して勤務時間を記録できます。リモートワークの際もシステム上で打刻ができ、勤務状況の把握が可能です。
3.タイムカードを電子化するメリット
タイムカードの電子化には、どのようなメリットがあるのか詳しく解説します。
(1)打刻漏れ・不正行為を防止しやすい
タイムカードの電子化により、勤怠管理を効率的かつ正確に行えます。ICカードや生体認証を活用した打刻方法は、従業員が簡単かつ確実に勤怠を記録できるため、不正行為や打刻漏れの防止につながります。
また、自動集計機能により手作業でのタイムカードの集計にかかる手間やエラーが発生するリスクが軽減されます。
(2)集計負担の大幅な軽減
勤怠管理システムの導入により、従業員の出退勤データをデジタルで簡単に集計できます。従来の方法では手作業でのタイムカードの集計に多くの時間がかかり、ヒューマンエラーのリスクが高いことが課題でした。
勤怠管理システムを利用すると、簡単な作業で集計が完了するため、業務時間が大幅に軽減されます。
(3)Web上でデータを管理できる
勤怠管理システムを利用すると、データをWeb上で管理できます。この仕組みにより、勤怠情報はオンライン上で安全かつ効率的に管理され、従業員や管理者は必要な時に簡単にアクセスできます。
(4)働き過ぎを防止できる
労働時間がリアルタイムで記録され、その情報が即座に分析や管理できます。そのため、労働基準法に基づく残業規制に基づき、働き過ぎを未然に防ぎやすくなります。
勤怠管理システムは、設定された労働時間の上限や残業時間の制限を超えた場合に自動でアラートを発する機能があります。これにより、管理者や従業員が働き過ぎに気付くことができ、早期に是正措置を講じることが可能です。
4.タイムカードを電子化するデメリット
タイムカードの電子化にはデメリットもあるため、メリットと比較したうえで導入するかどうかを決めましょう。タイムカードの電子化のデメリットは次のとおりです。
(1)導入・ランニングコストがかかる
タイムカードを電子化する際には、導入および運用に伴うコストがかかります。特に、自社に最適な形で導入するオンプレミス型の勤怠管理システムの場合、初期費用が高額になることがあります。また、クラウド型のシステムを採用する場合でも、通常は月額料金が発生します。
(2)慣れるまでに時間がかかる
タイムカードを電子化する際、従業員が新しいシステムに慣れるまでには時間がかかります。これは過去の慣習や手順との変更が伴うためであり、従業員が新しい操作やデジタルな環境に適応するまでにかかる期間には個人差があります。
特に、パソコンやスマートフォンの使用が得意でない従業員は、新しいシステムに対する抵抗感が生じることもあるでしょう。
(3)外部からの不正アクセス対策が必要
電子化されたタイムカードシステムは、オンライン上でデータを管理するため、外部からの不正アクセスのリスクが生じます。セキュリティ対策が不十分な場合、機密性やプライバシーが損なわれる可能性があります。
5.勤怠管理システムでタイムカードを電子化するときのポイント
勤怠管理システムでタイムカードを電子化する際は、次のポイントを押さえましょう。
(1)勤怠ルールの確認とブラッシュアップ
まずは、自社の勤怠ルールを明確に洗い出すことが重要です。システムを導入する目的は、従業員の正確な労働時間を把握し、合理的な勤怠管理を実現することです。しかし、企業ごとに異なるフレックスタイムやみなし残業制度などの変形労働時間制度が存在するため、システムがこれらのルールに対応できるかが重要なポイントです。
自社の勤怠ルールを把握することで、最適な勤怠管理システムを選びやすくなります。また、この機会に勤怠ルールをブラッシュアップし、より効率的な勤怠管理を検討することも重要です。
(2)他システムとの連携も検討する
勤怠管理システムを導入する際には、単なる勤怠管理だけではなく、ワークフロー機能や給与計算ソフトとの連携を検討しましょう。勤怠管理システムは企業の業務フローにシームレスに組み込まれることが効果的であり、既存のシステムとの連携がスムーズであれば、運用時の負担がさらに軽減されます。
6.まとめ
勤怠管理システムによってタイムカードを電子化すれば、業務効率化や生産性の向上、的確な勤怠管理などが可能となります。今回、解説した内容を参考にタイムカードの電子化を検討しましょう。
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