働き方改革が提唱されて以降、各企業が経営課題の一つとして推進に取り組んでいることと思います。
この記事では、働き方改革とは何なのか、目的や具体的な法改正について紹介し、積極的に進めるメリットを紹介します。
働き方改革の全体像を掴めるような構成にしてありますので、ぜひお役立てください。
なお、最新の労働法改正に関する記事もあわせてご覧ください。
1.働き方改革とは
「働く人たちが、それぞれの事情にあわせて、多様な働き方を選択できる社会」を実現するための取り組みが働き方改革です。
2019年以降、働き方改革関連法が施行され、時間外労働の上限規制や有給休暇取得の推進などが実施されています。
働き方改革は大企業だけでなく中小企業にも取り組みが求められており、年々対象企業は拡大しています。
2.働き方改革が必要とされる背景
(1)生産年齢人口の減少

出典:内閣府 令和8年版 高齢社会白書(全体版)
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2026/zenbun/08pdf_index.html
1. 働き方改革とは
「働く人たちが、それぞれの事情にあわせて、多様な働き方を選択できる社会」を実現するための取り組みが働き方改革です。
2019年以降、働き方改革関連法が順次施行され、時間外労働の上限規制や有給休暇取得の推進などが進められてきました。
対象は大企業だけでなく中小企業にも広がっており、年々取り組みが求められる企業の範囲は拡大しています。
法改正のたびに労働時間管理や休暇管理の実務は複雑になっており、勤怠管理の仕組みそのものを見直す企業も増えているのが実情です。
なお、働き方改革関連法には以下の法律が該当します。
2. 働き方改革が必要とされる背景
働き方改革が求められる背景には、労働力人口の減少と働く人々の価値観の変化があります。
人手不足が深刻化する一方で、育児や介護と仕事を両立したいというニーズも高まりました。
企業がこうした変化に対応できなければ、人材の確保も定着も難しくなっていくでしょう。
ここでは、働き方改革が必要とされる主な2つの背景を見ていきます。
(1) 生産年齢人口の減少
働き方改革が進められた背景として、生産年齢人口の減少が挙げられます。
日本の65歳以上人口は令和7年時点で3,622万人にのぼり、令和25年には3,953万人でピークを迎えると推計されています。
一方、65歳以上の者を支える15〜64歳の現役世代の比率を見ると、昭和25年には65歳以上の者1人に対して現役世代12.1人だったのに対し、令和7年には2.0人まで低下しました。
今後もこの傾向は続き、令和52年には1.3人になると見込まれています。
高齢化率も上昇を続け、令和52年には38.7%に達し、国民の2.6人に1人が65歳以上となる社会が到来する見通しです。
支え手となる現役世代が急速に減少していく以上、生産力回復のためにも働き方改革は必要不可欠と言えます。
(2) 労働者のニーズの変化
男女雇用機会均等法が施行されて35年あまり。
日本では女性の社会進出が進み、働き方のニーズが多様化しました。
子育てや介護との両立、テレワークなどを叶えることも働き方改革に求められています。
多様な働き方が選択できる社会によって、働く人々がよりよい将来の展望を持てることを目指しているのです。
在宅勤務や直行直帰など働く場所を選ばない働き方が広がるほど、紙のタイムカードでは実態把握が難しくなり、クラウド型勤怠管理の必要性も高まっています。
3. 働き方改革の目的
働き方改革が目指すのは、労働人口の減少という構造的な課題に対応しながら、誰もが働き続けられる社会を実現することです。
単に労働時間を減らすだけでなく、出生率の回復や労働参加率の向上など、中長期的な視点での目的が掲げられています。
ここでは2つの主要な目的を確認していきましょう。
(1) 労働人口増加
前述した生産年齢人口の減少に伴い、労働人口(15歳以上のうち就業者と完全失業者をあわせた人口)も減少し続けています。
女性の社会進出が今以上に活発になった上、65歳以上のシニア層が労働市場に参加したとしても、2060年には1,200万人の減少が見込まれる状況です。
少ない労働人口でも個々が活躍できる土壌を作ることが、経済発展を続けるための鍵を握ります。
多様な人材が無理なく働き続けるためには、勤務形態ごとに異なる労働時間を正確に管理できる体制が土台になるでしょう。
(2) 出生率の上昇
少子高齢化や労働人口減少を食い止めるのに不可欠なのが、出生率の上昇です。
出生率は人口千人に対する出生数の割合を指し、特に重要なのが、合計特殊出生率(15〜49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの)です。
合計特殊出生率は2005年に過去最低の1.26を記録し、その後徐々に回復傾向だったのが、コロナ禍もあり2022年は1.26。
再び過去最低を記録しています。
働く女性が増えたことで、仕事と育児を両立する難しさ、産後復帰しづらい職場環境などの問題が浮き彫りになり、出産に消極的な女性が増える結果となりました。
産休・育休からの復帰後も無理なく働けるよう、勤務時間や休暇取得状況を正確に記録・管理できる体制を整えることが、女性が働き続けやすい職場づくりの土台になります。
4. 働き方改革関連法で何が変わった?
働き方改革関連法は2019年以降、順次施行されており、職場環境に大きな変化をもたらしています。
時間外労働の上限規制や有給休暇の取得義務化など、いずれも勤怠管理の実務に直結する内容です。
法改正に対応できているかどうかは、日々の勤怠データをどれだけ正確に把握できているかにかかっているといえるでしょう。
代表的なものを以下に紹介します。
(1) 時間外労働の上限規制
大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から、時間外労働に上限規制が設けられました。
これにより、1ヶ月あたり45時間、年360時間を超える残業は原則できません。
臨時的な特別の事情があっても、年720時間、複数月平均80時間以内を超えることは認められないのです。
なお中小企業に該当するかどうかは、資本金の額または出資の総額と、常時使用する労働者数のいずれかを満たすかで判断されます。
たとえば小売業なら資本金5,000万円以下または労働者50人以下、卸売業なら資本金1億円以下または労働者100人以下が目安です。
上限規制を守るには、従業員ごとの残業時間を月次だけでなく日次でも把握し、上限に近づいた時点でアラートを出せる勤怠管理の仕組みが欠かせません。
(2) 時間外労働の割増賃金率引き上げ
従来、月60時間を超える残業の割増賃金率は、大企業で50%、中小企業で25%でした。
2023年4月以降は中小企業も50%に引き上げられ、企業規模による差はなくなっています。
割増賃金率が変わったことで、給与計算の担当者には、月60時間という基準を正確に超えたかどうかを把握する作業が新たに求められるようになりました。
手作業の集計では計算ミスや対応漏れが起きやすいため、残業時間を自動で積算し、60時間を超えた分の賃金率を自動判定できる勤怠管理システムを導入する企業も増えています。
(3) 年次有給休暇の時季指定
年次有給休暇付与日数が10日以上の従業員には、毎年5日を確実に取得させる義務が企業に課されています。
正社員やアルバイトといった雇用形態にかかわらず、対象となる全ての従業員が対象です。
この義務を守るには、誰が何日取得済みなのか、常に把握しなければなりません。
従業員数が多いと、紙やエクセルでの管理では取得状況の把握が追いつかないことも。
勤怠管理システムを使えば、取得日数を自動で集計し、未消化の従業員に声をかけるといった対応もしやすくなるでしょう。
(4) フレックスタイム制の改正
これまでフレックスタイム制の労働時間は、1ヶ月の範囲内で清算する必要がありました。
法改正によってこの清算期間が3ヶ月に延長され、月をまたいで柔軟に労働時間を調整できるようになっています。
企業側には複数月にわたる労働時間を正確に積算し、過不足を把握する管理が求められるように。
月単位の集計しかできない仕組みでは、清算のたびに再計算が発生しかねません。
3ヶ月分の労働時間を自動で積み上げて管理できる体制が前提になります。
(5) 高度プロフェッショナル制度
高度プロフェッショナル制度は、研究職や金融ディーラーなど高度な専門知識を要する業務を対象に、自由な働き方を認める制度です。
労働時間や休日、割増賃金といった規定を適用せず、成果に応じた評価や収入を得られる仕組みが整えられました。
対象者は自分で働く時間を調整できるため、労働生産性の向上やワークライフバランスの実現が期待されています。
ただし、対象者であっても健康管理の観点から在社時間の把握自体は必要です。
適用対象者と一般社員とで異なる管理ルールを1つのシステム上で運用できる柔軟性が求められるでしょう。
(6) 同一労働・同一賃金
アルバイトや契約社員、正社員といった雇用形態にかかわらず、同じ仕事内容であれば同じ賃金を支払うべきだとする考え方が「同一労働・同一賃金」です。
企業には、待遇差の有無を説明できる公正な評価制度の導入が求められています。
この対応を進めるには、雇用形態ごとの労働時間や勤務実態を正確に比較できるデータが欠かせません。
誰がどれだけ働き、どのような手当を受けているのかが曖昧なままでは、待遇差を合理的に説明することも難しくなるでしょう。
(7) 産業医・産業保健機能の強化
長時間労働による健康への影響は、以前から指摘されてきた問題です。
2〜6ヶ月の間で時間外労働が月80時間を超えると、健康障害のリスクが大幅に高まるとされています。
労働安全衛生法の改正により、産業医との面談や指導体制が強化され、労働者の健康確保がこれまで以上に重視されるようになりました。
この基準に該当する従業員を見逃さないためには、残業時間の推移をリアルタイムに近い形で把握できる環境が必要です。
月末にまとめて集計する運用では、面談のタイミングを逃してしまう恐れもあるでしょう。
5. 働き方改革対応に求められる勤怠管理体制
ここまで見てきたように、働き方改革関連法の多くは、労働時間や休暇取得状況を正確に把握できていることを前提としています。
しかし、紙のタイムカードやエクセルでの管理では、集計や確認に手間がかかり、法令違反に気づくのが遅れるケースも少なくありません。
ここでは、法改正への対応を支える勤怠管理体制について、押さえておきたい2つの視点を紹介します。
(1) 正確な労働時間の把握
直行直帰やテレワークで働く従業員が増えると、出社を前提とした紙の管理では実態と記録にずれが生じやすくなります。
クラウド型の勤怠管理システムであれば、勤務場所を問わずスマートフォンやパソコンから打刻でき、労働時間をリアルタイムで集計可能です。
上限規制違反や割増賃金の計算漏れといったリスクを早期に発見しやすくなるでしょう。
(2) 法改正への迅速な対応
もう一つ欠かせないのが、今後の法改正にも柔軟に対応できる仕組みを持っておくこと。
働き方改革関連法は、社会情勢に応じて今後も見直しが続くと考えられます。
エクセルで運用している場合、ルールが変わるたびに担当者が手作業でフォーマットを修正しなければならず、対応の遅れやミスにつながりかねません。
クラウド型の勤怠管理システムであれば、法改正にあわせて機能がアップデートされるため、手間をかけずに最新のルールへ対応しやすくなります。
6. 勤怠管理システムを導入するメリット
働き方改革関連法への対応を考えたとき、勤怠管理をエクセルや紙から専用システムへ切り替えることで得られるメリットは少なくありません。
単に法令遵守のためだけでなく、日々の業務負担の軽減や、より正確な労務管理の実現にもつながります。
ここでは、勤怠管理システムを導入することで期待できる3つのメリットを紹介します。
(1) 集計業務の効率化
勤怠管理システムを導入する最大のメリットの一つが、集計業務にかかる時間と手間の削減です。
打刻データから労働時間や残業時間、休暇取得日数までを自動で集計できます。
たとえばエクセルで管理している場合、従業員数が多いほど転記や関数の修正に時間がかかり、月末になるとその作業に追われる担当者も少なくありません。
勤怠管理システムであれば、打刻情報がそのまま集計データとして反映されるため、月次処理にかかる時間を大幅に短縮できます。
担当者は集計作業ではなく、より付加価値の高い労務管理業務に時間を割けるでしょう。
(2) ヒューマンエラー・法令リスクの低減
勤怠管理システムは、手作業による計算ミスや確認漏れを減らすことにも役立ちます。
残業時間の積算や割増賃金率の判定、有給休暇の残日数管理といった複雑な計算を、システムが定められたルールに沿って自動で処理してくれるからです。
エクセルの手入力では、関数のミスや漏れによって、上限規制違反や未払い賃金といったコンプライアンスリスクが生じることも。
勤怠管理システムを使えば、ミスの発生自体を抑えられるうえ、規定に近づいた従業員をアラートで早期に把握することも可能です。
法令違反のリスクを未然に防ぎやすくなるでしょう。
(3) 多様な働き方への対応
働き方改革によってテレワークや直行直帰、フレックスタイム制など、勤務形態が多様化しています。
この変化に対応できるかどうかも、勤怠管理システムを導入する大きなメリットの一つ。
出社を前提としないスマートフォンやパソコンからの打刻に対応できるため、勤務場所や時間帯を問わず正確な労働時間を記録できるからです。
たとえば直行直帰の従業員が自己申告だけの場合、実態との乖離が生じやすくなります。
勤怠管理システムであれば、どこでも打刻でき、勤務実態をデータとして残せます。
多様な働き方を導入しても、労務管理の正確性を保ちやすくなるでしょう。
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