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労務は何をする部署?仕事内容や人事との違いを解説

労務は何をする部署? 未分類

企業にとって従業員の労働条件や労働環境の管理は非常に重要です。
特に、労務管理は従業員の福利厚生や労働条件の改善を図るために不可欠。
本記事では、労務の具体的な仕事内容や、人事との違いについて詳しく解説します。
労務部門が企業の中でどのような役割を果たしているのか、労務に向いているのはどのような人材かも述べていますので、参考にして下さい。

1.労務の仕事内容とは

労務とは、企業の従業員に関する労働条件や労働環境の管理を指します。
主な業務内容には以下が含まれますが、会社の規模や組織編成によって異なるため参考程度にとどめてください。

社会保険の手続き

社会保険の手続きは、労務の重要な業務の一つ。
従業員の入社・退職に伴う手続きや、保険料の計算・納付を行います。
具体的には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の加入手続きが含まれます。
従業員が入社した際には、必要な情報を収集し、各保険の加入手続きを速やかに行います。
退職時には、保険の脱退手続きを行い、必要に応じて離職票を発行するなどの対応が必要です。
また、年金事務所など関連機関とのやりとりも定期的に行い、従業員の保険情報を正確に管理します。
さらに、保険料の算定や納付スケジュールの管理も重要な業務です。
ミスが許されないため、細心の注意を払って対応します。
保険関連の手続きは、従業員の福利厚生に直結するため、法令に基づいた正確な対応が求められます。

従業員の給与計算

労務の中でも特に複雑な業務が給与計算です。
毎月、全従業員の労働時間や休暇、残業時間を正確に把握し、それに基づいて給与を計算します。
給与計算では、基本給だけでなく、残業手当、深夜手当、休日出勤手当、各種手当など、毎月金額が変わる項目も多くあります。
これらを正確に反映するのが労務担当の役割です。
また、社会保険料や所得税、住民税などの控除も適切に計算し、給与明細に反映させることが求められます。
特に、法改正による控除額の変更や新たな手当の追加がある場合、その内容を迅速かつ正確に反映する必要があります。
時期によっては賞与や年末調整の計算も給与計算業務に含まれ、年間を通じて一貫して正確なデータ管理が求められます。
給与計算のミスは従業員の信頼を損ねる原因となるため、綿密なチェックと正確なデータ入力が不可欠です。

労働契約の管理

労務部門は、従業員と企業の間で交わされる労働契約の作成・管理を担当します。雇用形態や賃金、労働時間などの要素がこれに当てはまります。

勤怠管理

従業員の出勤・退勤時間、休暇取得状況などを管理するのも労務の役割です。
正確な勤怠管理は、給与計算や法定労働時間の遵守に直結します。

労働条件の改善

労務部門は、従業員の働く環境をより良くするために、労働条件の改善や福利厚生の充実を図ります。
安全衛生管理や労働環境の整備も含まれます。
従業員のモチベーションアップや職場の生産性向上に欠かせません。

2.労務と人事の違い

労務と人事は企業における重要な管理分野ですが、それぞれの役割や業務内容は異なります。この記事では、労務と人事の違いについて詳しく解説し、企業運営における両者の重要性を探ります。

そもそも人事ってどんな部署?

人事とは、企業の人材に関する戦略的な管理を指します。具体的には、以下のような業務を行います。

①採用と配置

人事部門は、企業のニーズに応じた人材の採用を担当します。
採用した人材を適切な部署や役職に配置することも重要な業務です。

②人材育成と研修

従業員のスキルアップやキャリア形成を支援するため、研修プログラムや教育制度を企画・運営します。
これにより、企業の競争力を高めることができます。

③評価と報酬

人事部門は、従業員の業績や貢献度を評価し、それに基づいて報酬や昇進を決定します。
公平で透明性のある評価制度は、従業員のモチベーション向上に繋がります。

労務と人事の具体的なちがい

労務と人事はどちらも従業員に関する業務を扱いますが、そのアプローチや目的は異なります。
例えば、労務は労働条件の管理や改善を主な目的としますが、人事は人材の戦略的な配置や育成が目的です。
業務内容においても、労務は契約や勤怠管理に重点を置きますが、人事は採用、育成、評価に重点を置きます。
どちらも人材の活用や従業員がいきいきと活躍するためには欠かせない存在です。
労務と人事が連携することで、企業全体の労働環境や人材戦略がより効果的に機能します。
労務が提供する勤怠データは、人事の評価プロセスにおいて重要です。
また、人事が策定する人材育成プランは、労務が提供する現場のフィードバックを反映することで、より実効性の高いものとなります。

3.労務に向いている人の特徴

業務には向き不向きがありますが、労務においても、向いてる人の特徴が存在します。

具体的な特徴は以下の5つです。

  • 正確さと注意力がある
  • コミュニケーション能力が高い
  • 法律知識と学習意欲がある
  • ストレス耐性が髙い
  • データ処理能力が髙い

それぞれ詳しく説明します。

正確さと注意力がある

労務の仕事は、給与計算や勤怠管理、労働契約の管理など、正確さが求められる業務が多く含まれます。
例えば給与計算では一つのミスが大きな問題を引き起こす可能性があり、細部にまで注意を払える人が向いているでしょう。
また、労働時間や休暇の管理も正確に行う必要があります。
細かいデータを扱う業務においても、ミスを減らすための注意力が重要です。
労働法や会社の規定を正確に理解し、それに基づいて正確な記録を保持することが求められるため、几帳面で慎重な性格の人が適しています。

コミュニケーション能力が高い

従業員や管理職、外部機関とのコミュニケーションが頻繁に必要な労務管理業務。
労働契約の説明や給与についての問い合わせに対応する際、分かりやすく説明する能力が求められます。
また、労働環境の改善提案や労働法の遵守に関する情報提供など、様々なレベルでのコミュニケーションが必要です。
従業員からの相談に対応する場面も多く、信頼関係を築きながら適切なアドバイスを提供する能力も重視されます。
聞き手としてのスキルも含め、双方向のコミュニケーションを円滑に行える人が活躍できます。

法律知識と学習意欲がある

労働基準法や労働契約法など、労務業務では労働関連の法律知識が不可欠。
法改正が頻繁に行われるため、最新の情報を常に把握し、業務に反映させる必要があります。
継続的な学習意欲がある人は長く活躍できるでしょう。
また、法律に基づいた適切な対応を行うことで、企業のコンプライアンスを確保する役割も担います。
法的知識を活用して問題解決に取り組む姿勢が重要です。
法令遵守のための社内教育やガイドラインの作成なども手掛けるため、法律に対する興味と深い理解を持っている人が適しています。

ストレス耐性が高い人

従業員の働き方や労働条件に直接関わる労務の仕事は、クレーム対応や難しい交渉が求められることも。
例えば、労働時間や給与に関する不満を持つ従業員への対応や、労働条件の改善を求める声に応える場面が多いです。
これらに冷静に対応し、感情的にならずに問題解決へと導く能力が求められます。また、法律に基づいた対応を求められる場面では、厳しい判断を下すことも必要。
プレッシャーに強く、ストレスを上手に管理できる人が向いています。

データ処理能力が高い人

労務の仕事では、勤怠データや給与データ、労働時間の記録など、多くのデータを扱うことが日常的です。
これらのデータを正確に処理し、分析する能力が求められます。
例えば、勤怠管理システムを使用して従業員の出勤・退勤データを管理し、異常値を見つけ出して適切な対応を行うことが重要です。
また、データ分析を通じて労働時間の傾向を把握し、労働環境の改善提案を行うこともあります。
Excelや専用の勤怠管理ソフトを使いこなす技術と、データに基づいた論理的な判断ができる人がこの仕事に適しています。

おわりに

労務は従業員の労働環境を整備し、法令に基づいた正確な対応を行うことで、企業全体の健全な運営を支える重要な役割を担っています。
一方で、人事は企業の戦略的な人材管理を行い、従業員の成長を促進します。
労務と人事が連携することで、企業はより効果的な労働環境と人材戦略が可能です。
本記事を通じて、労務の役割について理解を深めていただけたなら幸いです。