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「やりがい搾取」とは?原因や問題点・具体的な事例・解決方法を紹介!

やりがい搾取とは? 未分類

「やりがい搾取」とは、仕事のやりがいを盾に、適正な報酬を提供せず、労働力を強いる状況のことです。
この問題は労働者の権利や健康に深刻な影響を与えています。
本記事では、やりがい搾取の定義や背景、原因、具体的な事例、そして解決方法について詳しく紹介します。

1.「やりがい搾取」とは?

やりがい搾取とは、労働者が仕事にやりがいを感じる一方、適正な報酬や労働条件が提供されず、過酷な労働環境に置かれる状況を指します。
企業は従業員の「やりがい」を強調し、その意欲や熱意を利用して過剰な労働を求めることがあります。
しかし、その対価として適正な給与や休息が与えられない場合、それはやりがい搾取です。特にクリエイティブ業界や小売・サービス業界などで起こりやすく、労働者の権利や健康に深刻な影響を与えています。

「やりがい搾取」が生まれた背景

「やりがい搾取」という言葉は、労働社会学者の本田由紀氏によって提唱されました。本田氏は、労働市場における若者の現状を分析する中で、この概念を提唱しました。
この言葉が広まった背景には、経済的変動や労働市場の変化が大きく影響しています。
特に、バブル経済の崩壊やリーマンショック後の経済不安定期において、多くの企業がコスト削減を図るために非正規雇用や低賃金労働を増やしました。
また、就職氷河期を経験した世代が、安定した職を得ることが難しく、やりがいを求める一方で過酷な労働条件に耐える状況が一般化しました。
インターネットの普及によって、労働者が自身の労働条件について情報を共有しやすくなり、やりがい搾取の実態が可視化されたことも、この言葉が広まった背景として大きいでしょう。

やりがい搾取の原因はブラック企業の増加

やりがい搾取の主要な原因の一つは、ブラック企業の増加です。
ブラック企業とは、従業員に過酷な労働条件を強いる一方で、適正な報酬や福利厚生を提供しない企業を指します。
ブラック企業は、従業員のやりがいや熱意を利用して低賃金で長時間働かせます。
特に、若者や新卒者は経験やスキルを積むためにこのような企業で働くことを選びがちですが、その結果としてやりがい搾取に陥るリスクが高まります。


企業文化や労働環境の問題も原因の一つです。
労働者の権利意識が低く、労働基準法が十分に守られない環境では、やりがい搾取が発生しやすくなります。
この状況を改善するためには、労働者の権利意識の向上、企業による適正な労働環境の整備が不可欠です。

2.やりがい搾取だと何が悪い?3つの問題点

やりがい搾取の何が悪いのか、具体的な問題点は以下の3つです。

  • 労働基準法に反する低賃金での労働
  • 長時間労働によるメンタル面のリスク
  • 離職率の増加によりさらなる悪循環へ陥る

それぞれについて、詳しく説明します。

労働基準法に反する低賃金での労働

やりがい搾取の大きな問題点の一つは、労働基準法に反するほどの低賃金労働です。
企業が従業員に対して適正な賃金を支払わず、やりがいを理由に過剰な労働を強いることは法律に反します。

正しく勤怠記録をつけない、早めにタイムカードを切らせるなどの方法でサービス残業をさせ、残業代を支払わないことで最低賃金を下回るケースもあります。
適正な賃金が支払われないことで、労働者の生活は困窮し、経済的な安定が損なわれます。

低賃金での労働は、労働者のモチベーションを低下させるだけでなく、職場全体の士気にも悪影響を及ぼします。
労働基準法の遵守は企業の義務であり、それを怠ることは企業の信頼を損ないかねません。

長時間労働によるメンタル面のリスク

やりがい搾取による長時間労働は、うつ病などの精神的な疾患を発症するリスクが高まります。
メンタルヘルスの問題は労働者個人の健康に深刻な影響を与えるだけでなく、職場全体の生産性低下の原因にもなり得ます。
長時間労働が常態化すると、従業員の健康管理が疎かになり、結果的に企業のパフォーマンスや業績にも悪影響を及ぼすため、注意が必要です。

離職率の増加によりさらなる悪循環へ陥る

やりがい搾取は高い離職率を招き、企業にとって深刻な悪循環を引き起こします。
過酷な労働条件や低賃金に耐えられず、多くの労働者が職場を離れることになるでしょう。
企業は慢性的な人手不足に陥り、残された従業員にはさらに負担がのしかかります。
悪循環が続くと、職場の雰囲気が悪化し、従業員の士気が低下します。
新たな人材の採用コストや時間が増加し、企業の経営にも大きなダメージを与えます。長期的には、企業の成長や発展が妨げられ、競争力の低下につながる恐れがあります。

3.具体的なやりがい搾取の事例

やりがい搾取でよくある具体的な事例として、以下の4つが挙げられます。

  • 残業代の未払い
  • 休憩時間を取れない環境
  • アルバイトに正社員と同等の業務をやらせる
  • ボランティアや研修への強制参加

それぞれ、詳しく説明します。

残業代の未払い

従業員がやりがいを持って仕事に取り組む上で、残業が発生することはよくあります。
その労働に対する正当な対価が支払われない場合、それは典型的なやりがい搾取です。
特に、退勤のタイムカードを切ったあとで仕事を依頼する、外出先の顧客対応が長引いた分の労働時間を記録しない、など、労働時間が管理されない状況で頻繁に起こりえます。
適切な勤怠管理・労務管理がされていないことで発生するやりがい搾取とも言えるでしょう。

休憩時間を取れない環境

休憩時間を取れない環境もやりがい搾取です。
特に飲食業や小売業などのサービス業では、忙しい時間帯に休憩を取ることが難しい場合が多くあります。
従業員はお客様へのサービスを最優先するよう圧力を受け、結果として休憩時間が削られるパターンはどの職場でも起こり得ます。
このような状況は、労働者の健康と働きやすさに深刻な影響を及ぼし、離職率増加を招く恐れがあります。

アルバイトに正社員と同等の業務をやらせる

アルバイトに正社員と同等の業務をやらせることもやりがい搾取の一例です。
例えば、アルバイトに管理業務や専門的な作業を任せているのに、賃金や福利厚生は正社員よりも低いままなのはまさにやりがい搾取です。
アルバイトに対する不当な負担を強いるものであり、労働者の権利を侵害しています。

ボランティアや研修への強制参加

ボランティア活動や研修への強制参加も、やりがい搾取の典型的な事例です。
企業は従業員のスキルアップや社会貢献を名目に、ボランティア活動や研修への参加を強制することがあります。
しかし、これらの活動が業務時間外に行われる場合や、報酬が支払われない場合、労働者にとっては実質的な負担となります。

4.やりがい搾取に陥りやすい業種3選

やりがい搾取になりやすい業種や業界は以下の3つです。

  • 飲食店などのサービス業
  • スーパーやコンビニなどの小売業
  • 映像やWebなどの制作業

それぞれ、詳しい理由を紹介します。

飲食店などのサービス業

飲食店をはじめとするサービス業は、「お客様に喜んでもらいたい」「良いサービスを提供したい」という強い意欲を持っています。
しかし、その意欲が企業によって利用されるケースが少なくありません。
例えば飲食店では、長時間労働が常態化し、休憩時間が十分に取れないケースをよく聞きます。
深夜手当や残業代が適切に支払われない場合も見受けられます。

また、サービス業は人手不足が深刻です。
少ない従業員で現場を回す必要があり、スタッフに過度の負担がかかりがちに。
このような状況が続くと、従業員の健康やモチベーションが損なわれ、サービスの質の低下にも繋がります。

スーパーやコンビニなどの小売業

スーパーやコンビニを始めとする小売業界も、やりがい搾取のリスクが高い業界です。
小売業は地域にとってなくてはならない存在ですが、営業時間が長い分、長時間の立ち仕事や深夜労働が頻繁に発生します。
小売業はアルバイトやパートタイムの労働者が多いため、短期で人が入れ替わります。
労働環境に不満を持ったら辞める、というサイクルが繰り返され、環境そのものの改善がされにくい状況です。

映像やWebなどの制作業

映像・アニメーション制作やWebデザインなどのクリエイティブ業界も、やりがい搾取の典型的な業種といえます。
この業界では、納期に追われることが常態化しており、長時間労働や徹夜作業が発生することが珍しくありません。
また、フリーランスで働く人も多く、彼らは案件ごとの契約となるため、安定した収入を得るのが難しい状況にあります。
特に若手クリエイターは経験を積むために低賃金で働かざるを得ないことが多い環境も、やりがい搾取の一因です。

5.やりがい搾取を解決する方法

やりがい搾取を解決するためには、企業の人事・労務関連部署が主体となり、会社全体で取り組む必要があります。

具体的な解決方法として以下の4つが挙げられます。

  • 正確な勤怠管理を行う 
  • 労務管理を徹底する 
  • 管理職や経営者の意識改革を行う 
  • 社内に相談窓口を設ける

それぞれ、具体的な内容を見ていきましょう。

正確な勤怠管理を行う

やりがい搾取を防ぐための基本は、正確な勤怠管理です。
従業員の勤務時間や休憩時間を正確に記録し、過剰労働を防止することで、労働条件の適正化が図れます。
これまでエクセルやタイムカードなどアナログな方法で管理していた場合は、勤怠管理システムを導入するだけで大幅な適正化が期待できます。
システム上で従業員の出退勤時間を正確に把握することが第一歩。
システム内にはアラート機能が備わっているので、働き過ぎ防止や法令遵守も同時に満たします。
労働時間を可視化すれば、残業時間が多い従業員に適切な休息を取らせる、などの対応もできます。

労務管理を徹底する

労務管理の徹底も、やりがい搾取を防ぐためには欠かせません。
労働契約書を明確にし、従業員に対して公平かつ透明な労働条件を提供しましょう。
労働基準法を始めとする法律を遵守し、従業員の権利を守る就業規定の整備が重要です。
また、定期的に労働環境の見直しを行い、問題が発生した場合には迅速に対応する仕組みを構築しましょう。
例えば、定期的な労務監査の実施、従業員の声をアンケートで聞き改善策を講じる、などが効果的です。

管理職や経営者の意識改革を行う

やりがい搾取を根本的に解決するためには、管理職や経営者の意識改革が欠かせません。
企業のトップが率先して労働環境の適正化に励むことが重要です。
経営者や管理職は、労働者の健康や福利厚生を第一に考え、過度な負担をかけない配慮が求められます。
また、リーダーシップ研修や人権教育を通じて、労働者の権利や労働条件の重要性についての理解を深めることも必要です。
上層部の意識改革によって、企業全体でやりがい搾取を防ぐことができます。

社内に相談窓口を設ける

人事・労務部門が主体となって、社内に相談窓口を設けることも効果的です。
従業員が安心して相談できる環境を整え、労働問題が発生した際の早期対処を心がけましょう。
従業員からの相談内容は匿名で受け付けるようにし、相談開始のハードルはなるべく低くします。
定期的なアンケートやヒアリングを実施し、従業員の意見を反映させた改善策を講じることも重要です。

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