Copyright © OM Network, Inc.

出勤簿の役割や保存期間は5年!労働基準法をもとに解説

出勤簿の役割や保存期間は5年 未分類

出勤簿は、従業員と雇用主双方の権利と義務を守るための基本的なツールです。
出勤簿の役割や保存期間については、労働基準法で法的に定められています。
また、出勤簿は勤怠管理システムを利用することで効率化が可能です。
出勤簿に関する基礎知識や運用方法を知りたい方は、ぜひお読みください。

1.出勤簿の基礎知識

労働基準法では、企業が従業員の出勤、退勤の時刻を正確に管理する義務を定めています。
この記録は、労働時間の管理、給与計算、さらには法的証拠としての役割も担っています。出勤簿は、働く人々の権利を保護し、適正な労働環境を維持するために不可欠です。

(1)出勤簿を使う目的

出勤簿は労働時間管理や給与計算の根拠として不可欠であり、労働基準法に基づく法的義務の遵守を保証する証拠となります。
適切な労働環境を確保するため、時間外労働の監視にも役立ちます。
従業員の働きすぎを防止し、正しく給与を支払うことが出勤簿の目的です。

(2)出勤簿が果たす役割

出勤簿は、従業員の勤務状況を正確に記録するための重要な文書です。この記録は、労働時間の管理、給与計算、労働法遵守の証明といった複数の役割を果たします。また、出勤簿は労働争議が発生した際の重要な証拠となることもあります。従業員と雇用者の双方にとって、権利と義務を守るための基本的なツールであると言えるでしょう。

(3)出勤簿の対象者は管理監督者も含まれる!

出勤簿の記録は全ての従業員が対象です。
アルバイトやパートタイムの労働者も含まれます。
また、2019年4月から施行された働き方改革関連法により、「管理監督者」の労働時間の把握が義務化されました。
管理監督者とは、労働基準法第41条第2項で規定されている、「経営者と一体的な責任と権限を有し、勤務時間の制限を受けない人」のことです。
管理監督者に該当するかどうかは、役職名ではなく、職務内容や権限、賃金などから総合的に判断されます。

2.出勤簿と労働基準法の関係

出勤簿と労働基準法は深く関係しています。
労働基準法では、出勤簿を含む4つの帳簿を「法定帳簿」としており、保存を義務付けています。
ここからは、労働基準法に基づく出勤簿の運用方法や、類似の帳簿について見ていきましょう。

(1)出勤簿の必須項目

出勤簿には労働基準法で定められた必須項目があります。
従業員の氏名、出勤及び退勤の時刻、労働時間数、基本給や手当額などが必須項目です。
また、残業の有無や休日労働に関する記録も必要です。
これらの情報は、労働条件の適正管理と労働者の権利保護のために重要です。適切な記録と保存が法令遵守の鍵となります。

(2)出勤簿の保存期間は5年

出勤簿は、従業員の出勤状況を記録する重要な文書です。労働基準法に基づき、企業は出勤簿を作成し、保存する義務があります。

改正・労働基準法第115条 
この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から5年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から2年間行わない場合においては、時効によって消滅する。


具体的な保存期間は、法律で5年(当分の間は経過措置として3年)と定められています。
この期間は、労働関連の証拠として、また労働条件の適正な管理を目的として設けられているため、遵守が求められます。企業は、出勤簿を適切に管理し、保存期間内での保管を徹底する必要があります。

(3)労働基準法における「法定帳簿」とは

労働基準法では、事業主が法律に基づいて作成し、保管しなければならない「法定帳簿」を定めています。
法定帳簿は、労働条件の透明性を保ち、労働者の権利を保護するために重要です。
労働基準監督署の調査が入った場合、これらの帳簿の提出が求められることもあります。

法定帳簿は3つあります。

①賃金台帳

労働者の賃金計算の基となる帳簿です。
氏名、性別、賃金計算期間、労働日数、労働時間数、基本給、手当額、賃金控除額などを記載する必要があります。
事業場ごとに作成し、最後の記入日から5年間(経過措置として当分は3年間)保存することが義務付けられています。

②労働者名簿

労働者の個人情報や雇用状況を記録した帳簿です。
氏名、生年月日、履歴、性別、住所、従事する業務、雇入年月日、退職年月日、退職事由などを記載します。
事業場ごとに作成し、退職の日から3年間保存することが義務付けられています。
なお、1996年以前は本籍地も記載の必要がありましたが、現在は記載事項から削除されていますのでご注意ください。

③年次有給休暇管理簿

2019年4月より義務化された帳簿で、様式に定めはありません。
労働者の年次有給休暇の付与・取得状況を記録し、労働者ごとに取得日、付与日、日数を記載する必要があります。

(4)出勤簿は勤怠管理システムで作成できる

出勤簿の作成は、勤怠管理システムを利用することで大幅に効率化できます。
システムでは、従業員が出退勤時に打刻やログインすることで自動的に労働時間を管理します。
さらに、集計機能を活用することで、残業時間や休日出勤などの計算も瞬時に可能です。

(5)出勤簿をシステムで管理するメリット

出勤簿をシステムで管理すると大きく3つのメリットが得られます。

(6)出勤簿のペーパーレス化

紙の出勤簿は手書きや記入ミスのリスクがありますが、勤怠管理システムではデジタルデータで出勤簿を作成できます。
偽造や改ざんの防止を防止でき、保存場所も必要ありません。

(7)労働時間の集計の効率化

エクセルや手書きで出勤簿を作成すると、転記や集計のミスが発生しやすいもの。
勤怠管理システムでは打刻データを元に労働時間を自動で計算可能です。
人事担当者の負担を減らし、給与計算や法律遵守に役立ちます。

(8)関連システムとの連携

勤怠管理システムによっては、給与計算システムやシフト管理システムなど、他のシステムとシームレスに連携できます。
勤怠記録をもとに、一連の労務管理を効率化でき、作業時間削減につながります。

まとめ

近年、ペーパーレス化の流れに伴い、出勤簿もデジタル管理が普及しています。

出勤簿の適切な記入と保存は、従業員の働きやすい環境を作り、企業の信頼性を高める上で不可欠です。
労働基準法を理解し、正確な労働時間の管理に努めましょう。