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【2024年法改正】裁量労働制は何が変わった?基本からわかりやすく解説

裁量労働制は何が変わった? 未分類

2024年の法改正により、裁量労働制で新たに対応が必要な部分が加わりました。
労働時間や働き方の柔軟性が求められる現代、裁量労働制を活用する上で働く人の負担にならない管理方法や、労働者の不利益とならないための企業姿勢が求められています。
この記事では、裁量労働制の基本から、2024年の法改正による具体的な変更点まで、わかりやすく解説します。

1.そもそも「裁量労働制」とは?

裁量労働制は、労働者が業務の遂行に関して一定の裁量を持ち、労働時間の長さではなく、業務の成果を重視する制度です。
特定の業務に従事する労働者が自身の判断で仕事を進められるように設計されています。

裁量労働制の主な目的は、労働者が柔軟に業務を遂行できる環境を整えることにあります。
特に、専門的な知識や技能を必要とする業務や、企画や立案といったクリエイティブな業務において効果が発揮されます。
裁量労働制には「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」の2種類があります。

専門業務型裁量労働制とは

専門業務型裁量労働制とは、特定の専門知識や高度な技能を要する業務に従事する労働者を対象とした労働時間制度です。この制度は、労働者が業務の進行や成果に応じて自らの裁量で労働時間を管理し、効率的に業務を遂行できるように設計されています。

専門業務型裁量労働制の対象業務

研究開発、システムエンジニアリング、デザイン、法律業務、報道などは、専門業務型裁量労働制が採用されやすい業務です。
これらは固定的な労働時間に縛られず、自身の判断で柔軟に働くことが求められます。
例えば、研究者は新しい発見を追求するために、システムエンジニアは複雑なプログラムの設計や開発のために、それぞれ自由な時間管理が必要となります。

企画業務型裁量労働制とは

企画業務型裁量労働制は、企業の経営や事業運営に関する企画や立案、調査分析などを行う業務に従事する労働者を対象とした労働時間制度です。この制度の目的は、労働者が自身の裁量で業務の進行や時間配分を管理し、効率的に働けるようにすることです。

企画業務型裁量労働制の対象業務

この制度は、企業の経営戦略の策定、新規事業の企画立案、市場調査や分析、経営改善策の立案などの業務に当てはまります。
高度な判断力や創造力を必要とし、固定的な労働時間に縛られずに柔軟に働くために、時間の縛りがありません。
ただし、経営戦略を策定するためには市場動向を細かく分析し、戦略を練るために長時間かかることがあります。
過度な労働とならないよう、その都度適切な時間管理が必要です。

2.裁量労働制が2024年に改正された背景

裁量労働制に関する法律(労働基準法施行規則)が改正された背景として、以下の5つが考えられます。

  • 労働環境の変化
  • 働き方改革の推進
  • 労働者の健康と安全の確保
  • 法令遵守の徹底
  • グローバルスタンダードへの対応

それぞれ詳しく見ていきましょう。

労働環境の変化

2024年の制度改正の背景には、労働環境の大きな変化があると考えられます。
テクノロジーの進化やリモートワークの普及により、従来の固定的な労働時間制度が実態に合わなくなってきました。
労働者がオフィス以外の場所で柔軟に働けるようになったこと、副業を認める企業が増えたことから、労働時間の管理や評価の基準を見直す必要性が高まっています。

働き方改革の推進

日本政府は働き方改革を進めており、裁量労働制の見直しはその一環とも言えます。
働き方改革の目的は、長時間労働の是正やワークライフバランスの改善、労働生産性の向上です。
裁量労働制はこれらの目標を達成するための重要な手段とされており、制度の適用範囲や運用方法の見直しがより働きやすさにつながるものへと進化しています。

労働者の健康と安全の確保

労働時間の長さが労働者の健康に与える影響が問題視される中、裁量労働制の下での長時間労働が課題となっていました。
過労によるメンタルヘルスへの悪影響や過労死は大きな社会問題です。
2024年の改正では、労働者の健康管理を強化し、過労を防ぐための具体的な対策が盛り込まれています。

法令遵守の徹底

裁量労働制の運用においては、企業側の法令遵守が重要です。
しかし、実際には法令違反や不適切な運用が問題となるケースが少なくありませんでした。
2024年の改正では、労使協定の内容や労働時間の管理方法に関する規定が強化され、法令遵守と運用の透明性を高めるための対策が講じられました。

グローバルスタンダードへの対応

日本の労働制度は、他国の制度と比較して柔軟性や効率性に欠ける点が指摘されていました。
グローバル企業との競争力を高めるためにも、国際的な労働基準に適合し、生産性の高い働き方を実現する必要があります。
2024年の改正は、こうした国際的な視点からも制度の改善を図るものと考えられます。

3.改正による具体的な変更点

2024年の改正によって、裁量労働制がどのように変わったのか、詳しく説明します。

具体的に企業の対応が必要な点としては以下の5つです。

本人同意を得る・同意の撤回の手続きを定める

裁量労働制を適用する際には本人の同意を得る必要があります。
同意しなかった場合でも不利益な取り扱いをしない旨、労使協定に定める必要があります。

また、同意の撤回の手続きや、同意や撤回に関する記録の保存についても、労使協定・労使委員会の決議に定めることになりました。
なお、これは企画業務型裁量労働制ではすでに定められている内容です。
今回、専門業務型裁量労働制にも適用されることになりました。

労使委員会に賃金・評価制度を説明する

企画業務型裁量労働制では、対象の労働者に適用される賃金・評価制度の内容について、使用者(企業)から労使委員会に対する説明事項(説明を事前に行うことや説明項目など)を、運営規程に定める必要があります。

また、対象労働者の賃金や評価制度が変更となる場合、労使委員会に変更内容の説明を実施する旨、決議に定める必要があります。

労使委員会は制度の実施状況の把握と運用改善を行う

企画業務型裁量労働制においては、制度の趣旨に沿った適正な運用の確保に関する事項(制度の実施状況の把握の頻度や方法など)を、運営規程に定める必要があります。

労使委員会は6か月以内ごとに1回開催

企画業務型裁量労働制では、労使委員会の開催頻度を6か月以内ごとに1回とするよう、運営規程に定める必要があります。

定期報告の頻度変更

企画業務型裁量労働制では、定期報告の頻度について、決議の有効期間の始期から6か月以内に初回を開催する必要があります。(その後は1年以内ごとに1回)

なお、この他の変更点については、厚生労働省の資料を参考にしてください。

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