Copyright © OM Network, Inc.

時短勤務とは?制度内容やメリット・デメリットについて解説!

時短勤務とは? 未分類

現代社会では、仕事とプライベートのバランスを保ちながら、育児や介護の責任を果たすことが一層求められています。
そのため、多くの労働者が時短勤務の選択を考えるようになりました。
時短勤務は単なる労働時間の短縮ではなく、労働者とその家族の生活の質を向上させるための重要な手段です
この記事では、時短勤務の制度内容、育児、介護それぞれの条件や、従業員と企業にもたらすメリット・デメリットについて詳しく解説します。

1.時短勤務とは?

近年、どこの職場でも、育児や介護を理由に時短勤務(短時間勤務)を選択する人が少しずつ増えています。

しかし、対象者以外には詳しい制度内容が知られていないのが現状です。
時短勤務とは何か、根拠となる法律や対象者、混同しやすい類似の制度についてまとめました。

(1)時短勤務は法律で義務化されている

日本では、労働者が育児や介護のために必要とする場合、雇用者は時短勤務を提供することが「育児・介護休業法」によって義務付けられています。

この法律は、正式名称を「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といい、最近では2021年に改正がありました。

労働人口が減少傾向にある中で、多様な人材が活躍し、生産性を高めるために、家庭と仕事の両立を応援する制度として活用されています。

(2)時短勤務の対象は「育児」「介護」

時短勤務の対象となるのは、主に育児や介護を必要とする労働者です。
育児を理由に時短勤務を利用できるのは、子どもが3歳になるまでの期間。
介護の場合は、要介護認定を受けている対象家族がいる場合です。
労働者は仕事の負担を軽減しながら、子育てや家族の世話を続けることが可能になります。

(3)短時間勤務制度の利用率

2023年12月に厚生労働省が発表した資料によると、時短勤務(短時間勤務制度)の利用率は、正社員の女性が 51.2%、正社員の男性が 7.6%となっています。
女性の場合は産休・育休を経て時短勤務で職場に復帰するケースが多く、利用率も高い一方、男性の利用率は1割に届きません。

男女間で支援制度の利用状況には差があり、育児負担が女性に偏っているのが現状です。

(4)混同しやすい「育児休業」「短時間正社員制度」

時短勤務とよく混同されがちな制度に「育児休業」と「短時間正社員制度」があります。
育児休業は、長期間にわたり仕事を休み、子育てに専念するための制度であり、復職後に時短勤務に移行するケースが多いです。
一方、短時間正社員制度は、労働者が短時間勤務で正社員として働けるようにする制度です。
育児や介護の有無にかかわらず利用できることが特徴で、シニア層や障がいのある方、複数の会社で活躍したい方に活用されています。
これらの制度は用途や条件が異なるため、目的に応じて適切に選択することが重要です。

2.時短勤務のメリット/デメリット

時短勤務を推奨することは、企業と従業員双方にとってメリット・デメリットが存在します。

ワークライフバランス向上や離職率低下、多様な人材の活躍が期待できる一方、組織内のコミュニケーションが難しくなったり、労務管理が複雑になるデメリットも。

以下で詳しく紹介します。

メリット1:ワークライフバランス向上

時短勤務を導入することで、従業員は仕事と私生活の間でバランスを取りやすくなります。仕事に追われるストレスが減少し、仕事のモチベーションが向上するでしょう。
社員が幸福感を感じる職場は、全体的な生産性の向上に繋がり、企業にとってプラスに働くはずです。

メリット2:離職率の低下

柔軟な働き方を可能にすることで、家庭と仕事の両立がしやすく、従業員の離職防止につながります。

長く働くスタッフが増えれば、新規採用や研修にかかるコストの節約につながり、組織の知識と経験を保持できます。

メリット3:多様な人材の活躍

時短勤務制度によって、小さな子どもがいる親、介護が必要な家族を持つ人々、特定の健康上の要件を持つ人々など、さまざまな背景を持つ人材が働きやすい環境を作ることができます。
企業は多様な視点とスキルを持つ従業員に活躍の場を提供しながら、多角的にビジネスを展開するヒントを得られるでしょう。

デメリット1:コミュニケーションに課題

時短勤務者が一部の時間帯にのみ働くため、チーム内での情報の連携がスムーズに行えない場合があります。
また、スタッフ不在の時間が多いと、プロジェクトの進行や、緊急の問題に対応する際、遅れが生じるかもしれません。

同じチームのスタッフ同士が柔軟に意思疎通をはかれるよう、業務のやり方を見直す、コミュニケーションツールを導入するなどの対策が必要です。

デメリット2:管理コストが増える

時短勤務のスタッフのスケジュールを適切に管理・調整するには、追加の管理リソースが必要になることが多いです。
人事部門の労力増加、勤怠管理システムやシフト管理システムといったツールへの投資が必要かもしれません。
人事・労務関連の運営コストが増加する原因となります。

3.育児を目的とした時短勤務とは

育児を目的に時短勤務制度を活用する場合は、いくつか条件があります。

● 子どもが3歳未満

● 1日の勤務時間が6時間以上

● 日雇用い労働者ではない

● 同時期に育児休業を取得していない

パートや非正規労働者で、1日の勤務時間が6時間以上であれば時短勤務の対象者です。

また、労使協定によっては、勤続年数1年未満の場合や勤務が週2日以下の場合に時短勤務対象外とされるケースもあります。

法律上は3歳未満の子どもとされていますが、「小学校入学まで」を対象とする企業も。

4.介護を目的とした時短勤務とは

育児の場合と同様、介護を目的とした時短勤務制度の活用にも条件があります。

● 日雇用い労働者ではない

● 要介護以上の対象家族がいる

「要介護状態」とは、ケガや病気、精神上の障害などにより2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態のこと。

「対象家族」には、配偶者(事実婚含む)、両親、配偶者の両親、祖父母、兄弟姉妹、子ども、孫が含まれます。

また、介護の時短勤務は利用期間や回数について「対象家族1人につき、利用開始の日から連続する3年以上の期間で2回以上」と定められています。

まとめ

時短勤務制度は、従業員にとっても企業にとっても多くの利益をもたらすカギです。
適切に管理された時短勤務は、従業員のモチベーションの向上、仕事と家庭のバランスの改善、企業の生産性向上に寄与します。
ただし、この制度が成功するためには、企業文化の変革とともに、従業員との開かれたコミュニケーションが不可欠です。
本記事が、時短勤務制度の理解を深め、より良い職場環境の実現に役立つことを願っています。