企業にとって、正確な勤怠管理は従業員の権利を守り、適正な労働環境を提供する上で不可欠です。
出勤簿や勤怠管理表は、この目的を達成するための重要な書類ですが、違いはあるのでしょうか。
この記事では、出勤簿および勤怠管理の目的・保管期間・作成方法などをまとめました。
1.勤怠管理表と出勤簿は基本的に同じ
出勤簿と勤怠管理表は、名前が異なりますが同じ目的を持った書類です。
どちらも従業員の出退勤時間や休暇取得など、労働状況の管理を行うために使用されます。企業や組織によって呼び方は違うものの、機能や目的に大きな違いはありません。
従業員の勤務状況を正確に把握し、給与計算や労働法規の遵守をサポートするための重要な存在です。
勤怠管理表の保管期限
勤怠管理表やタイムカードの保管期限は法律によって「5年間」と決められています。
2020年4月の労働基準法改正で3年から5年へ延長されました。
勤怠管理表は、労働条件の証明や労働争議が生じた際の証拠資料としての役割を果たします。
適切な勤怠管理と法令遵守のため、文書の管理には十分な注意が必要です。
2.勤怠管理表の役割
勤怠管理表は、従業員の出勤状況と労働時間を記録する重要な役割を持ちます。
具体的な役割を以下で説明します。
(1)適切な労務管理
従業員の働き方を正確に把握し、法律に則った適正な労働条件を保持するためにはてきせ鬱な労務管理が不可欠です。
勤怠管理表は出退勤時間や残業時間、休暇取得状況など、詳細な労働時間の管理に用いられます。
労働関連のトラブルを未然に防ぐ効果も期待できるため、企業にとっても重要な機能を果たします。
(2)法律の遵守
出勤簿および勤怠管理表は、労働基準法と密接に関係します。
雇用主は従業員の労働時間を正確に把握し、記録を保存することが義務付けられています。特に残業時間の管理や労働条件の適正化を図るために不可欠で、出勤簿は業務量の証拠資料となります。
3.勤怠管理表の記載項目
勤怠管理表には、出勤・退勤時刻、休憩時間、残業時間などが記載されます。
具体的な記載項目は以下の通りです。
(1)出勤・退勤時刻
出退勤時刻の記録は、従業員の労働時間管理と法令遵守のために不可欠です。
これにより、正確な給与計算と労働生産性の分析が可能になります。
(2)労働時間
出退勤時間に基づいて労働時間が算出されます。
出勤簿や勤怠管理表には、これらの時間が記録され、給与計算にも用いられます。
(3)残業時間・深夜残業時間
残業時間や深夜残業時間も勤怠管理表に記載する必要があります。
深夜残業は22時から翌5時までの間に発生した残業を意味し、特別な割増賃金が適用されることが一般的です。
(4)休日労働時間
従業員が通常の勤務日以外に労働を行った場合は休日労働時間としてカウントします。
これらの時間も正確に記録し、適切な手当が支払われるよう管理されます。
(5)遅刻・早退・欠勤
従業員が遅刻や早退、欠勤をした場合の記録も必要です。
正確な給与計算や人事評価に関わります。
4.勤怠管理表の作成方法
勤怠管理表の作成方法には、紙ベースの記録、エクセルを用いた管理、勤怠管理システムなどのクラウドサービスを活用する方法があります。
3つの作成方法についてそれぞれまとめました。
(1)手書きで作成
出退勤の記録を手作業で行なっている企業は少なくありません。
手書きはコストがかからず手軽な反面、労働時間の把握や給与計算が困難です。
不正や改ざんのリスクが最も高い方法でもあります。
(2)Excelで作成
勤怠管理表をExcelで作成している企業も多くあります。
Excelはパソコンにあらかじめインストールされているため、初期コストがかかりません。
多くの人にとってなじみのあるソフトでもあります。
ただし、自社にあった管理表の作成には、関数やマクロの知識が必要です。
(3)勤怠管理システムの利用
勤怠管理システムは、従業員の出退勤や休暇取得状況を一元管理するためのツールです。
手書きや手入力によるミス、集計ミスを削減し、効率化を図ることができます。
ただし、多くのシステムで毎月の利用料金が発生します。
5.勤怠管理システムの導入メリット
勤怠管理は、従業員の勤務実態を詳細に分析し、労働時間の遵守や人事・給与計算の正確性を確保するために不可欠です。
勤怠管理をシステム化するメリットをまとめました。
(1)正確に勤務時間を把握できる
ICカード打刻や生体認証打刻などの方法で、従業員の出退勤時刻を正確に記録できます。
勤務時間をシステムから編集した場合は履歴が残るため、不正やミス防止にも役立ちます。
(2)給与計算の効率化
勤怠管理システムでは出勤簿のデータをエクスポートしたり、給与管理システムと連携させることができます。
勤怠管理システムの情報をそのまま給与計算に活かせるのは大きなメリットです。
システム上で給与計算機能が用意されている場合もあります。
(3)シフト管理システムとの連携も可能
勤怠管理システムによっては、シフト管理システムと連携していたり、シフト管理機能が付属しているものも存在します。
小売業やサービス業など、従業員が多くシフト制の企業であれば、シフトと勤怠を一元管理することで、管理者の負担を大幅に削減できます。
まとめ
出勤簿と勤怠管理表は基本的に同じものを指し、法律により5年間の保管が義務付けられています。
勤怠管理システムを利用すると、正確に勤務時間を把握し、給与計算やシフト管理など他業務の効率化にも繋がります。
ICカード打刻、顔認証打刻、LINE打刻など、打刻方法も豊富に用意されているため、システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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